資料作成でAIを活用するメリットと効果的な活用法とは? 調査・企画業務の質的変化を実現

リサーチ部門や企画職では、報告書や提案書、プレゼン資料など、さまざまな形式の資料を高い品質で作成し続けることが求められます。こうした日々の業務は、ビジネスパーソンにとって負担となることも少なくありません。
こうしたなか、近年ではAI技術の進化によって資料作成業務のあり方が大きく変わりつつあり、情報収集や分析の高度化、アイデア創出の支援など、AIは資料作成業務における業務パートナーとしての役割を担い始めています。
本記事では、AIを資料作成に活用することで得られる具体的なメリットや、効果的な活用法など、「効率化」と「質の向上」の両立を目指すために必要な、AI活用による業務変革のヒントをお届けします。
資料作成業務で生成AIが必要とされる背景
ビジネス環境が目まぐるしく変化するなか、リサーチ部門や企画職では、競合分析や市場調査、マーケティング戦略立案に必要な分析など、高度な分析業務が求められています。膨大なデータから意味のある洞察を抽出し、説得力のある資料を作成する作業には、専門的知識だけではなく多くの時間がかかります。
従来の資料作成では、情報収集やデータ分析、執筆やデザインといった一連の作業に多くの時間を要していました。特に、複数のデータソースから関連情報を抽出し、分析結果を統合する作業は、高度なスキルを要するため、本来注力すべき戦略立案や施策検討に十分な時間を割けないのが課題でした。
このような背景から、高度な分析業務にこそAIを活用した資料作成が注目を集めています。生成AIは、データ分析や情報整理を高速で実行し、競合分析、市場調査、マーケティング戦略のための分析といったプロフェッショナルな業務において、強力なサポートツールとして機能します。
資料作成におけるAIの活用シーン
AIは具体的に資料作成業務の次のシーンで活用できます。
- プレゼン資料などを自動で構成作成・スライド化
- データや統計情報を自動で収集・整理
- テキスト校正・表現のブラッシュアップ
- レポートや提案書の要約・要点抽出
- 資料全体のストーリーとデザインの最適化
これらの活用シーンを理解することで、自身が関わる業務フローのどこにAIを活用すべきかが明確になります。
プレゼン資料などを自動で構成・スライド化
営業資料や社内報告資料、提案書などによる情報共有は、現代のビジネスにおいて必要不可欠といえます。
従来では、資料の構成検討やスライドデザイン、レイアウト調整などに多くの時間を費やしていましたが、テーマやキーワード、伝えたいメッセージをAIに入力するだけで、論理的な構成の自動生成やスライド作成が可能となりました。
AIがこれらの作業を支援することで、本質的な内容の検討に集中できるようになります。特に、定期的な報告資料や、過去の資料をベースにした資料作成作業では、大幅な時間短縮効果が期待できます。
データや統計情報を自動で収集・整理
リサーチ業務において、膨大なデータから必要な情報を抽出し、わかりやすく整理することは、非常に時間のかかる作業です。
市場調査データ、統計情報、業界レポートなど、散在する情報を一元的に集約し、資料に組み込む形式に加工する作業をAIに任せることで、データの解釈や示唆の導出といった、より付加価値の高い業務に注力できるようになります。
特に、膨大な定量データを扱う企画業務では、データ収集・整理の自動化による効率化効果が顕著に表れます。
テキスト校正・表現のブラッシュアップ
資料の品質を左右する要素として、文章の正確性と表現の洗練度があります。その点、AIは誤字脱字のチェックや表記ゆれの統一、文法の確認など、基本的な校正作業を短時間で実行できます。
他にも、より適切な表現への言い換え提案や、文章の論理構成の改善提案も可能です。
特に、複数人で手分けして作成した資料では、表現のトーンや用語の統一が課題となりますが、AIによる校正・校閲機能を活用することで、資料全体の品質を均質に保てます。
これにより、最終確認にかかる時間を削減しながら、高品質な成果物を作成できるようになります。
レポートや提案書の要約・要点抽出
調査レポートや複雑な提案書から、重要なポイントだけを抽出してエグゼクティブサマリーを作成する作業は、内容を深く理解したうえでおこなう必要があり、時間と労力を要します。
経営層向けの報告資料や、複数の調査結果を統合したレポート作成において、膨大な情報を整理し、本質的な内容に絞り込む作業をAIが支援することで、作成時間の短縮と情報の構造化を同時に実現できます。
また、要約結果をベースに、さらに詳細な分析や考察を加えることで、より価値の高い成果物へと発展させることも可能です。
資料全体のストーリーとデザインの最適化
説得力のある資料には、論理的なストーリー展開と視覚的に訴求力のあるデザインが必要です。特に提案書や企画書では、読み手を説得するためのストーリーテリングが重要ですが、AIが客観的な視点で構成の改善点を指摘することで、より洗練された資料へとブラッシュアップできます。
スライドのレイアウト、色使い、フォント選択など、視覚的なデザイン要素の最適化もサポートしてくれるため、デザインの専門知識がなくても、見栄えのよい資料を作成できる点も、大きなメリットといえます。
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AIが資料作成にもたらす5つのメリット
AIを資料作成に活用することで、次のような具体的なメリットが得られます。
作業時間を劇的に短縮できる
資料作成における最も大きなメリットは、作業時間の短縮です。これまで数日を要していた作業が、AIの支援により大幅に削減できます。
たとえば、メモ書きからの議事録作成において、1回あたり10分程度短縮されたという調査結果があります。他にも、システム情報調査において、マニュアル確認と比べ、体感として1回あたり30分から1時間程度の作業時間が減ったという報告も見られます。 (出典:「デジタル庁職員による生成AIの利用実績」デジタル庁)
このような成果には、単に作業が早く終わることだけではなく、「空いた時間を、より戦略的な業務に充てられる」という点で、大きな価値があります。
情報収集や分析を高度化できる
AIは膨大なデータベースから関連情報を正確に抽出しつつ、高度な分析ができます。特に、RAG(Retrieval-Augmented Generation)と呼ばれる技術を活用することで、企業内に蓄積された情報や専門的なデータベースから、必要な情報を的確に取り出すことが可能です。
こうした技術を活用することで、これまで経験や勘に頼っていた判断を、AIによるデータ分析で体系化することで分析精度が向上した事例もあります。また、パソコン操作ログをAIで分析することで、繰り返し作業の割合や使用頻度の高いアプリケーションを可視化し、業務の適正配分やプロセス改善に役立てた事例も報告されています。(出典:「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック」総務省)
このように、AIは情報収集の速度を上げるだけではなく、これまで可視化できなかったパターンや傾向を発見し、より深い洞察を得るための強力なツールといえます。
均質かつ高品質な文章が作成できる
近年のAIは、日本語に特化した大規模言語モデルの開発により、人間に近い、自然で読みやすい文章を作成できるレベルに達しつつあります。
文章作成においては、作成者の執筆スキルや経験によって品質にばらつきが生じることが課題でしたが、AIを活用することで、高品質な文章作成が可能です。これは、どのビジネスパーソンにとっても、資料の品質を高める有用なツールとなりえます。
たとえば、校正・校閲業務では、AIによる表記の統一や文法チェックで、資料全体の品質を均質に保てます。これにより、資料作成品質の標準化が進み、組織としての情報発信の質向上にも寄与できるでしょう。
業界や最新トレンドの情報を反映できる
AIを活用することで、業界動向や市場トレンドの最新情報を、簡単に資料に反映させることができるようになります。一部のAIツールは検索エンジンと連携し、Web上の最新情報にアクセスできるため、リアルタイムに近い情報を資料に反映できます。
調査・リサーチ業務においては、最新の統計データや市場分析レポート、競合他社の動向など、タイムリーな情報収集が必要不可欠です。その点、AIを活用することで、これらの情報を迅速に収集し、分析結果に反映できます。
このように、生成AIを業務に活用することは、最新情報を素早くキャッチし、資料に反映できる能力が求められる企画職や調査部門にとって、大きな武器となります。
新たなアイデア創出のきっかけや、気づきが得られる
資料作成における分析業務では、同じような視点や切り口に陥りがちです。AIの活用で、従来とは異なるアプローチでの提案アイデアや、見落としていた課題の発見につながります。
具体的には、介護業務におけるケアプラン作成において、AIからの提案を活用することで、ケアマネジャーの提案の幅が広がり、新たな気づきが得られたという事例が報告されています。 (出典:「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック」総務省)
また、新たなアイデア出しや壁打ちなど、個人・法人問わず既に多くの組織でAIが活用されています。AIを単なる作業支援ツールととらえるのではなく、創造性を刺激し、イノベーションを促進するパートナーとして考えてみるのも、有効な選択肢です。
AIを活用した具体的な資料作成方法を紹介
活用の基本的な流れとしては、作成したい資料のテーマや目的、想定読者などの情報を入力することですが、ここでは具体的なイメージをつかむために、当社の生成AIツール「NIKKEI KAI」を使って解説します。
今回は、電気自動車についてSWOT分析したレポート作成を例に取り上げつつ、まずは作成したい内容を赤枠の部分に記載し、生成を実行します。
NIKKEI KAIでは実行後、下図のようなレポートが自動で生成されます。
この段階で、章立てや各セクションの内容を元に、本文の執筆やデータの収集・分析、グラフや表の作成がおこなわれます。生成後に内容を確認し、必要に応じて修正や追加の指示をAIに出します。
NIKKEI KAIの大きな特徴は、市場調査や競合の事業データなど6万以上のデータベースから最新の調査データを抽出できる点です。これにより、信頼性の高い情報に基づいた資料作成が可能になります。詳しくはこちらの記事「経済データ×生成AIでリサーチ業務を加速する生成AI「NIKKEI KAI」」で紹介しています。
ここで重要なのは、AIが作成した内容を過度に信頼せず、必ず人間が最終確認をおこない、自社の状況や目的に合わせて調整することです。
その後、完成した資料は、ユーザーが最終的な確認と調整をおこなったうえで、プレゼンテーション用のスライドや報告書として活用します。
他の生成AIと違い、信頼できる情報ソース元の出典が明示され、社内資料にも使いやすいのがNIKKEI KAIの特長です。調整や裏取りの手間を減らし、リサーチや企画業務の生産性を底上げしたい方は、ぜひご覧ください。
AIを資料作成に用いる際の3つの注意点
AIを活用した資料作成には多くのメリットがある一方で、利用者として理解しておくべき注意点も存在します。ここでは、特に重要な3つの注意点について解説します。
情報収集や分析を高度化できる
AIが生成する情報は、必ずしも100%正確とは限りません。特に、ハルシネーション(幻覚)と呼ばれる、AIが事実に基づかない情報を生成してしまう現象には注意が必要です。
デジタル庁のガイドラインでも、生成AIによるリスクとして、情報の正確性に関する注意喚起がなされています。
生成AIシステムを利用する際には、出力された情報の正確性を常に検証する姿勢が求められます。特に、統計データや引用情報、専門的な内容については、信頼できる情報源で自ら確認することが大切です。
対外的に発信する資料や、経営判断の根拠となる資料では、情報の信頼性が直接的に組織の評価に影響するため、慎重なチェックが必要になります。
AIに投入する前に扱う情報を吟味する
AIに情報を入力する際には、知的財産権の侵害や機密情報の漏洩リスクを考慮する必要があります。安易に企業の機密情報や個人情報を入力してしまうと、意図しない情報漏洩につながる可能性があるからです。
ITリテラシーを高め、何が機密情報に該当するのかを正しく理解したうえで、AIを活用する意識を持つことが大切です。
総務省のガイドラインでは、適正学習の原則が示されており、AIに学習させるデータの適切性について慎重に検討することが求められています。(出典:「AI利活用ガイドライン」総務省)
また、個人情報保護委員会からも、生成AIサービスの利用に関する注意喚起がなされています。
具体的には、顧客リストや社内の戦略情報、未公開の財務データなど、機密性の高い情報をプロンプトとして入力する前に、事前に自社のセキュリティポリシーを確認し、適切な承認を得ることが重要です。
最後は人が判断する
AIは強力なツールですが、万能ではありません。最終的な判断と責任は、必ず利用者が担う意識を持っておきましょう。
経済産業省のAI事業者ガイドラインや、内閣府の「人間中心のAI社会原則」では、AIの判断を過度に信頼せず、人間が主体的に関与することの重要性が強調されています。(出典:「AI事業者ガイドライン」経済産業省、「人間中心のAI社会原則」内閣府)
特に、対外的な発信や経営判断に関わる業務など、重要な意思決定を伴う業務での生成AI利活用においては、人間による確認と判断が不可欠とされています。
AIの生成物に対し「自身の専門知識や経験を加えることで、より価値の高い成果物が生み出せる」という意識を持つことで、「最後は自分で判断する」という責任感が生まれるのです。
AIを業務遂行の戦略パートナーとして活用することが大切
資料作成におけるAI活用は、単なる効率化ツールとしての利用にとどまりません。AIを戦略的なパートナーとして位置づけることで、業務の質的変化を実感できるようになります。
これまで資料作成に追われていたビジネスパーソンが、AIの支援により定型的な作業から解放されることで、「資料作成に追われる人」から「企画・戦略を考える人」へと役割を広げていくことが期待されます。
AIを効果的に活用するためには、その能力と限界を正しく理解し、人間の強みとAIの強みを組み合わせることが大切です。自社の資料作成業務において、AI活用を検討する際、まずは小規模な業務から試験的に導入し、効果を検証しながら活用範囲を広げていくのがよいでしょう。
「NIKKEI KAI」なら日経グループが保有する情報ソースに加え業界専門紙、統計・IR情報などの信頼ソースを活用できます。 さらに、著作権処理済みの情報のみを使用しているため、企業利用にも安心です。
詳しい活用方法などについては、ダウンロード資料で詳しく解説しております。ご不明な点などあれば、お問い合わせフォームから、お気軽にお問い合わせください。
自社の資料作成業務の効率化と質の向上を実現するために、AIをどのように活用できるかについて検討を開始されることをおすすめします。






