IPOに向けた取引先デューデリジェンスと内部統制に大きく貢献

IPOに向けた取引先デューデリジェンスと内部統制に大きく貢献

株式会社アルゴリズム 管理本部
経理財務部長 富本輝月様

「情報の価値を高め、より多くの人に届ける」をビジョンに掲げているアルゴリズム様。現在、新規株式公開(IPO)を準備中で、社内や取引先、株主などのデューデリジェンス(精査)のため2019年7月に「日経リスク&コンプライアンス」を導入した。

背景と課題

上場準備を行う過程で
すべての取引先に対するデューデリジェンスを実施

株式会社アルゴリズムのコンプライアンスチェックを担当するのは経理財務部。同部署は内部統制や内部監査、資金調達の業務に加えIPO準備も担っており、取引先デューデリジェンスは、その中でも重要な取り組みの1つとなっている。

富本さん: 月平均にすると約40件の案件を日経リスク&コンプライアンスで精査しています。主な対象は取引先や株主で、反社会的な記事などが掲載されていないかを確認します。IPOに向け証券審査を担う主幹事証券会社とも取引先デューデリジェンスの業務フローについてはよく相談し、原則的にすべての取引先に対してデューデリジェンスを実施しております。実際に取引先デューデリジェンスを実施していく中で、例えば過去に行政指導を受けた企業などがあった場合、社内での検討は勿論、主幹事証券会社等とも取引の方針を確認していく必要があるため、できるだけ広範囲に信頼性の高い情報を集める必要があります。取引先の調査にはWeb検索をはじめ、様々なツールを使いますが、日経リスク&コンプライアンスはその一つとしてフル活用しています。

そのため、日経リスク&コンプライアンスで記事やWebの検索結果を精査した上で、社内の検討結果を付したレポートを主幹事証券会社へ定期的に提出しています。新規取引先の信用情報の取得も重要な活用目的です。既存の取引先に限らず、新たな取引先候補や株主候補などについても必ず日経リスク&コンプライアンスでネガティブな情報が無いかを事前に確認します。当社はネット系のビジネスを手掛けているのもあって、取引先とのやり取りもオンライン上でチャットやメールのみでしか行われていないことも多く、特に慎重に確認・検討しています。ネガティブキーワードでの検索結果でヒットした記事に対しては、それぞれの内容を精査し、取引適否の判断理由などを証跡としてコメントとして残します。また、内部統制上のリスク回避という点で自社のレピュテーションチェックも恒常的に行なっています。

管理本部 経理財務部長 富本輝月さん

導入の背景ときっかけ

シンプルな操作性や情報の信頼性、
オペレーション化できる点が魅力

取引先に対するデューデリジェンスは、基本的に社会から信用を得るための日常的な業務である。効率的に短時間で、それでいてきちんと効果を発揮させることが理想だ。富本さんはコンプライアンスチェックのシステム導入の際、他の記事検索システムも検討したが、それは入力したキーワードに関連するすべての記事がヒットし、その中からネガティブな情報だけを抽出する必要があった。

信頼性を測る上で参考にならない雑誌なども一般的な電子メディアサービスでは検索結果に含まれるため、手間や時間がかかるだけでなく、それぞれの情報を選択する基準や判断は個人の裁量によるところが大きいのが難点だった。

富本さん: 日経リスク&コンプライアンスを導入した第一の理由は、まず信頼性の高い情報の中からネガティブな情報だけが特定できることです。1カ月のトライアル期間をフルに活用させてもらい、シンプルな操作性で業務がオペレーション化できる点などが最適だと判断しました。

これまで1人でやっていた大部分の業務が、今は他の人に引き継げています。 採用前に証券会社にも相談しましたが、主要媒体が網羅されていることや官公庁情報などもヒットする点が評価され、コンプライアンスチェックツールとして利用することの了承が得られました。

やはり、全国紙や一般紙が広くカバーされていることは安心感につながります。調査品質のバラツキやカバーされていない他媒体に「見逃した情報があるのではないか」という不安を抱えていたのでは、この業務は立ち行かなくなりますので。また、IPOに関して言えば、予実管理を厳格にしていく必要がある中で、日経リスク&コンプライアンスは定額制なので予算が組みやすいという利点もありました。

導入の効果

月平均で1〜2時間が短縮
再検索など無駄な作業も解消

日経リスク&コンプライアンスを導入する前の課題は、デューデリジェンスの評価基準が担当者に左右されてしまう危険性や作業の煩雑さ、そして結果の管理・共有にも手間がかかることだった。特にWeb検索結果だけに頼る場合、ヒットしたすべての内容について、担当者がきちんと吟味しているかどうかが分からないという不安も生じてしまう。

富本さん: 日経リスク&コンプライアンスは、あらかじめ複数のキーワードを設定して登録しておけば、後は社名をフォームに入力するだけで、ネガティブな情報だけが抽出されて出てきます。そのため、こうした検索のオペレーションを他の人に引き継ぐことができるようになりました。事前に取引先毎の検索を行って、検索結果をPDF印刷して保管してもらっておくことで、私はヒットした記事の内容に目を通して反社的な問題などが含まれている記事かどうかを確認するだけでよくなり、作業時間は半減しました。

全体でみると月平均で2~3時間が短縮できています。また、個々の取引先の検索結果なども取引先コード振った上でPDF化して保管しておくことで、経理などで用いている取引先管理台帳と連動させて利用することができるのも大きな魅力です。

「この会社、デューデリジェンスを実施したか?」という問題はこれまではいつもありましたが、日経リスク&コンプライアンスのシステムでは検索履歴や検索でヒットした記事の結果がシステム上に残るので、いまでは再検索をかけるような無駄な作業はまったく起こらなくなりました。

取引先へ業務などを依頼する際、事業部門から「この取引先と契約しても問題ないですか」と問い合わせがあってもすぐに回答が出せます。やはり、過去の検索結果がシステム上でいつでも取り出せることやコメントがそこに残せる点は大変役立っています。個別の結果をPDFで印刷する際にもコメントも一緒に付されて出力されるので、過去の取引検討事項がうやむやになる心配もありません。

今後の展望

全社に利用を促し浸透させ
内部統制にも役立てる

IPOが実現すればさらに取引先デューデリジェンスは重要になる。2007年に『企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針』が政府から発表され、2011年にはすべての都道府県で暴力団排除条例が施行されるなど、反社会的勢力の排除に向けた動きはますます活発になってくる。

コンプライアンス遵守・コーポレートガバナンス強化のためにも、『反社会的勢力排除』の対策としてコンプライアンスチェックの意識は社員一人ひとりへと浸透させていく必要がある。

富本さん: 上場を果たせばさらにコンプライアンスに注力しなければなりません。一般的に「取引先デューデリジェンスは管理側の仕事」という認識が多いですが、それではいつまで経っても管理側が一方的に義務を押し付けているだけで、本当の内部統制にはならないと考えています。

取引先デューデリジェンスという業務の重要な点は、取引先とのトラブルを回避するだけでなく、社会的な要請の中で必要不可欠な取り組みであることを全社的に認識し、その取り組みの精度を上げることです。日経リスク&コンプライアンスは会社内で複数のアカウントを作成して、検索履歴を多くの人間で共有できるので、将来的には新たに取引を開始する部署毎にアカウントを持って、取引先の検索を実施する業務フローも出来るはずです。

コメント機能により何を根拠に判断したかの証跡が明確になっているので、誰が閲覧してもその判断過程が非常に分かりやすく、第三者のチェックもしやすくなっているので、全社的に取引先デューデリジェンスの業務を行うに浸透させるのも容易になるのではないかと期待しています。

ネットをメインにしたメディアビジネスでは、コンプライアンスやリスク管理は今後さらに複雑化することが予測できる。社員一人ひとりのそうした意識の高さが、社会との信頼関係を築くうえで欠かせない。

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