従業員に身につけさせたい情報収集力

情報収集力とは、確かな情報を入手して、特定の課題に対する解決策を見つける能力のことです。業界を問わずに必要とされるスキルで、業務効率化や生産性の向上に直結します。「競合が新しいサービスをリリースする」「若者を中心に〇〇のニーズが高まっている」など、情報に精通している従業員がいることで、企業の戦略に役立てることもできます。

情報収集がうまい人に見られる6つの傾向

まずは、情報収集がうまい人に見られる6つの傾向を解説します。

1.複数の情報源を活用している

情報収集というと、インターネット検索をイメージする人が多いかもしれません。たしかに、インターネットからも幅広い情報が収集できますが、情報収集がうまい人は、複数の情報源を活用しています。例を挙げると、下記の情報源があります。

• インターネット上の無料記事
• インターネット上の有料記事
• 上場企業や公的機関のサイト
• SNS
• 新聞や書籍

これらの情報源のなかから、自分にとって必要なものを複数活用することで、他の人よりも早く正確に情報が入手できます。

2.価値観や立場の違いを意識して情報と向き合っている

多くの情報に触れるだけでは情報収集力が高いとはいえません。SNSや個人ブログなどは、間違った情報を発信しているケースがあるため、鵜呑みにしないことも大切です。また、情報発信者の立場や意図を考慮して情報と向き合うことで、客観的に情報を分析できます。

自社に対するネガティブな情報があっても、「少数派の意見だから」と切り捨てるのではなく積極的に受け入れることで、新しい課題やアプローチ手法が見つかる可能性もあります。

3.目的を持って情報収集している

情報収集に時間がかかってしまう人は、目的を明確にすることで改善が見込めます。情報収集がうまい人は、探す情報を明確にイメージしたうえで作業を行うため、短時間で必要な情報が収集できます。また、情報収集すべきタイミングも理解しているため、通常業務に負担にならない範囲で効率よく情報が入手できます。

4.好奇心が高く日常的に情報収集している

スキマ時間を活用して情報収集するのも、情報収集がうまい人に見られる傾向の1つです。毎日決まった時間に情報収集することで、無理なく続けやすくなります。スキマ時間の例としては、下記が挙げられます。

• 朝食の時間に新聞やテレビを見る
• 通勤時間にスマートフォンでネットニュースをチェックする
• 昼休みに同僚と会話をする
• 就寝前に本を読む

情報収集が義務になってしまうと心身の負担も大きくなります。仕事に関係することだけでなく、自分の興味があることも積極的に調べると、ポジティブに取り組みやすくなります。

5.アウトプットして情報を整理・精査する

情報収集がうまい人は、情報を蓄積するだけでなく、アウトプットするスキルも身につけています。アウトプットをすることで、情報の取捨選択力や論理的思考力が高まります。

また、アウトプットに対する他者の反応を踏まえて、情報のブラッシュアップも可能です。積極的にアウトプットをする人には、他の人も情報を共有したいと思うようになり、さらに情報が集まりやすくなるといった好循環が生まれます。

6.デジタルツールを使いこなしている

ハッシュタグ検索や画像検索機能など、デジタルツールを活用すれば自分が求める情報を効率よく絞り込めます。情報を整理・分類し、アウトプットする際も、デジタルツールが役立ちます。情報をいち早くキャッチできるよう、キーワードや分野を指定した通知機能を利用するのもおすすめです。

情報収集がうまい人を育てるメリット

情報収集がうまい人を育てることで、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、期待できるメリットを3つ紹介します。

従業員間の情報共有がスムーズになる

情報収集がうまい人を育てることで、情報の取捨選択力が高まり、従業員間の情報共有がスムーズになります。「信頼性が低い」「発表から時間が経過している」といった情報は、組織が混乱する原因となりかねません。従業員同士が高い情報リテラシーを身につけることで、間違った情報共有でトラブルが起きるリスクを減らせます。

アイデアが生まれやすくなる

多くの情報を収集することで、それらを関連付けて考えられるようになり、質のよいアイデア創出が期待できます。また、情報を組み合わせることで、新しい商品やサービスが生まれやすくなります。トラブルが発生したときも、蓄えた情報を元にスピーディな解決が実現できるでしょう。

業務効率が上がる

情報収集に時間がかかりすぎると、本来の業務に悪影響を及ぼします。効率的な情報収集ができる人材を育成することは、組織全体の業務効率アップにもつながります。

情報収集がうまい人を育てるコツ

漠然と情報収集の大切さを伝えるだけでは、人材の育成はできません。ここからは、情報収集がうまい人を育てるコツを4つ紹介します。

情報収集の目的を明確にさせる

目的に合わせて必要な情報を絞り、情報収集の結果をアウトプットしないとビジネスは進みません。たとえば、「毎日業界のトレンドを収集して発信する」といった作業の場合、情報を羅列するのではなく、組織の業務と関連付けることが重要です。「このニュースは現在A社に提案している企画に役立ちそう」など、情報収集の目的を明確にさせることを意識しましょう。

信頼性の高い情報源を使わせる

情報源のなかには、信頼性の低い情報が混在しているケースもあります。公的機関の情報など、信頼性の高い情報源を活用するように指導することで、不要なトラブルを防げます。また、SNSやニュースサイトから発信される二次情報は、必ず発信元である一次情報を確認することも徹底させましょう。

事実と主観的な要素を切り分けさせる

信頼性の高い情報源であっても、主観的な評価や分析が強いものがあります。収集した情報をアウトプットする際も、主観を混ぜて報告すると相手が誤解する可能性があるため注意が必要です。組織内で共有するときは、事実と主観的な要素を切り分けさせることで、正確な情報を把握しやすくなります。

論理的思考力を高めさせる

情報の収集とアウトプットを繰り返すことで、従業員の論理的思考を高めることができます。たとえば、「競合の売上が2倍になった」という情報を入手した場合、「どの事業が伸びているか」「なぜ成功したのか」といった要因や背景を探ることで、論理的思考が鍛えられます。加えて、論理的な思考力はさまざまな業務に応用でき、生産性の向上や新しい価値の創出にもつながります。

一次情報を確認する重要性

前述したように、情報には「一次情報」と「二次情報」の2種類があります。一次情報がオリジナルの情報であるのに対して、二次情報は一次情報をもとにして解釈や分析を加えた情報です。

二次情報は一次情報よりも主観が強かったり、信憑性が低かったりする場合があるため、一次情報を確認することが重要です。

情報収集の注意点

情報収集をする際は、共有・管理を徹底し、偏りをなくす必要があります。それぞれのポイントを詳しく解説します。

情報の共有・管理を徹底する

チームで情報収集する際は、情報を共有・管理する仕組み作りが重要です。「担当者が毎朝メールで情報共有をしている」「共有フォルダに収集した情報をアップロードしている」といった組織は、手間をかけている一方で、情報が活用できていない可能性があります。情報の共有・管理を効率化するためには、デジタルツールの利用がおすすめです。

偏りなく情報収集する

人は知らず知らずのうちに、偏った情報を収集する傾向が見られます。幅広い情報を収集するには、さまざまな分野のトレンドに触れる必要があります。情報収集に優れた人材が育成できたら、次のステップとして偏りなく情報を入手できる取り組みを検討してみましょう。偏りのない情報収集にもデジタルツールが役立ちます。

まとめ

従業員の情報収集力を高めることで、生産性の向上や業務の効率化が期待できます。また、集めた情報をうまく活用するためには、管理や共有の方法を見直すことも大切です。

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