ChatGPTとは

ChatGPTとは、どのようなものか、概要とGPTの意味について解説します。

ChatGPTの概要

ChatGPTは、OpenAI社が開発・提供したAIチャットサービスで、2022年11月に世界に公開されました。人間のように、自然な会話ができるという特徴があります。従来から、同じようなAIチャットサービスは存在していました。そのなかでChatGPTが特に注目された要因は、「回答範囲の幅」と「回答精度の高さ」です。

GPTは自然言語処理の手法の1つ

ChatGPTのGPTとは、「Generative Pretrained Transformer」の略称です。単語同士の関係性を計算し、その度合いに基づき情報を集約する仕組みを指します。この仕組みにより、テキストデータの自動分析、学習した情報をもとにした文章生成や、言語理解などができます。

ChatGPTの活用方法

ChatGPTはさまざまな活用方法があります。ここでは、8つの方法を解説します。

文章を作成する

ChatGPTは一から文章の作成ができます。たとえば「取引先へのメールの原稿を考えてほしい」「社内向けに、検査の結果を知らせるメールを作成してほしい」などの指示を出せば、メールの原案を作成できます。また、オウンドメディア用の記事執筆や、SEO記事作成なども可能です。

文章を要約・翻訳する

ChatGPTに文章を入力して「要約してください」「わかりやすく、説明してください」「会議の議事録をまとめてください」と指示を出せば、文章を要約したり、かみ砕いてポイントをまとめたりできます。多言語にも対応しているため、「翻訳してください」の指示で、希望の言語への翻訳も可能です。

文章を修正・添削する

ChatGPTには、文章の修正・添削にも対応しています。「文章の誤字や脱字を修正してください」「Aの表現が文章内にあれば、Bに変えてください」など、修正や変更の指示を出せば、誤字脱字のチェックや文章の修正が可能です。作成したビジネスメールをChatGPTに入力して「正しい日本語にしてください」と指示を入れれば、修正した文章が抽出されます。

プログラミングコードを自動生成する

ChatGPTはプログラミングコードの生成にも対応しています。特定の言語を指定して「ゲームプログラムのコードを作成してください」「ファイルの名称を変更するコードを作成してしてください」など指示を出せば、自動でコードを生成可能です。また、プログラミング中にエラーコードが発生した場合、そのコードを入力すれば、原因の分析やコードの最適化もできます。

社内向けチャットボットの精度が高まる

社内の問い合わせ対応にChatGPTを活用すれば、迅速かつ正確な回答を得やすくなるため、従業員の負担軽減につながります。自社のみが保有する、個別の情報を追加学習することで、回答の精度向上が期待できます。

この場合、社内の規程やルールをChatGPTに入力したうえで「介護休暇の取得方法について教えてほしい」「名刺の追加発注方法を教えてほしい」といった問い合わせを入力して、学習を深めましょう。

アイデアを提案する

ChatGPTは、オウンドメディアへ掲載する記事のテーマや社内イベントの企画など、さまざまなアイデアの提案が可能です。ChatGPTへの指示としては「販売促進するプランを3つ考えてください」「社内イベントの例を挙げてください」などが考えられます。このときターゲットを絞ると、特性やニーズに合わせたアイデアが提供されやすくなります。

業務マニュアルを作成する

ChatGPTに業務フローの図表やドキュメント、業務に必要な資料などを学習させれば、自動で業務マニュアルの作成が可能です。文章の図解や表の作成もできるため、資料作成もChatGPTで対応可能です。これらの業務にChatGPTを活用すれば、人件費の削減や正確性の向上につながります。

壁打ち

ChatGPTは質問に対して、回答を自動で生成するため、壁打ちにも対応しています。壁打ちとは、「自分の考えや悩みを話して意見や反応をもらうこと」を意味する言葉です。この方法は、問題点や改善点が明確になるだけでなく、ChatGPT自身に役割を与えられるため、画期的で独創的なアイデアの提案が期待できます。

生成AIの活用状況

株式会社帝国データバンクが2023年6月に実施した調査では、業務で生成AIを活用・検討している企業は61.1％にのぼりました。その内訳は、【業務で活用している】が9.1％、【業務での活用を検討】が52.0％です。

これらの企業が実施、または検討している生成AIの活用方法は、文章・コード生成 AIが93.1％と最も高い結果となりました。文章・コード生成 AIとしては「ChatGPT」が 87.9％と、最も多く使われています。

※参考：生成 AI の活用に関する企業アンケート｜株式会社帝国データバンク

ChatGPTをビジネスで活用する際のポイント

ChatGPTを業務に活用するときは、回答精度を高めるために改善や工夫に取り組みましょう。

プロンプトを研究する

ChatGPTの回答精度は、プロンプトに依存しています。プロンプトとは、ユーザーが入力した文章です。プロンプトを工夫すれば、ChatGPT の持つ性能を最大限に引き出し、自分が望む結果を得る確率を高められます。そのためには、ChatGPTへ入力する文章の工夫が欠かせません。この取り組みを、プロンプトエンジニアリングとよびます。

ChatGPTの効果を測定し改善する

ChatGPTを活用した効果を定期的に測定し、改善点や課題点を明らかにしましょう。これらの改善が進めば、更なるブラッシュアップにつながります。

ChatGPTをビジネスで活用するときの注意点

ChatGPTを活用する際は、リスクマネジメントが欠かせません。注意すべき点について、解説します。

言葉の意味や背景などは加味されない

ChatGPTは学習した膨大な量のデータから、質問や指示に関係性が深い単語をつなぎ合わせて、回答を出力しています。そのため、文章の意味や時代背景、文化による違いなどは理解できません。生成された文章が差別にならないか、多種多様な文化を尊重しているかなど、適切であるかの検証が必要です。

出力が遅くなったり、動作が停止したりするリスクがある

ChatGPTはWebサービスであるため、アクセスが集中すると出力が遅くなったり、動作が停止したりするリスクがあります。そのため、ChatGPTを使った業務は、「ChatGPTがなくても問題ないスケジュール」での進行が重要です。

「We’re experiencing exceptionally high demand.」から始まるエラーが出たら、ChatGPTのサイト自体に負荷がかかっている可能性が高いと判断できます。時間をおいて、再度アクセスしましょう。

情報が漏えいする可能性がある

ChatGPTを利用するときは、機密情報や個人情報の取扱いに注意しましょう。ChatGPTはユーザーから送信された情報も学習するため、情報が漏洩するリスクがあります。なお、プライバシーコントロール機能が有効になっていれば、入力した情報はトレーニングや学習データとして蓄積されません。そのため、機密情報や個人情報などの安全性が確保できます。

まとめ

AIチャットサービスの1つであるChatGPTには、文章作成や修正、プログラミングコードの作成など、さまざまな活用方法があります。ChatGPTの性能を最大限に引き出すために、プロンプトを研究したり、改善点や課題点を明らかにしたりしましょう。

NIKKEI The KNOWLEDGEは、信頼性の高い情報を収集・共有できるナレッジマネジメントツールです。整理・分類した情報の共有や議論がワンストップで可能です。NIKKEI The KNOWLEDGEを組織の企画・提案にお役立てください。