ナレッジマネジメントとは

そもそもナレッジマネジメントとは、どのようなものなのでしょうか。以下で詳しく解説します。

情報を一元化して管理・共有する

ナレッジマネジメントとは、社内に分散する情報や知識を一元管理し、従業員個人だけでなく、組織や部署などより広い範囲で共有して活用できるようにすることです。

ナレッジマネジメントツールで扱う情報や知識には、ビジネスシーンで発生するあらゆる内容が含まれています。たとえば、顧客の個人情報、購買履歴、顧客からの問い合わせ内容、業務のノウハウ、改善案など多岐にわたります。

2種類の考え方がある

ナレッジマネジメントにおいては、情報や知識について暗黙知と形式知という2種類の考え方があります。それぞれどのようなものなのでしょうか。暗黙知と形式知の詳細について以下で解説します。

暗黙知

暗黙知とは、従業員自身の体験や経験によって得られた情報や知識のことです。ノウハウやコツに加え、勘も暗黙知に含まれています。暗黙知は個人の主観によるものであり、言語化が難しい点が特徴的です。

形式知

形式知とは、客観的に言葉で表現できる情報や知識のことです。言語化しやすいためマニュアルとしてまとめやすく、個人が見出したものも簡単に組織へ共有できます。ナレッジマネジメントにおいては、暗黙知をいかに言語化して形式知に変換するかがポイントとなります。

ナレッジマネジメントツールとは

ナレッジマネジメントツールは、ナレッジマネジメントの実現を手助けするためのツールです。各従業員が蓄積した情報や知識などのナレッジをスムーズに組織全体へ共有し、業務の活発化を促します。

ナレッジマネジメントツールを導入するとナレッジの共有が簡単になるため、優秀な従業員のノウハウも全社で共有しやすくなります。その結果、企業全体のスキルを底上げしたり、業務効率化につなげたりすることが可能です。

ナレッジマネジメントツールの導入メリット

ナレッジマネジメントツールを導入した場合、さまざまなメリットがあります。具体的にどのようなメリットがあるか解説します。

属人化を防ぐ

ナレッジマネジメントツールを活用すれば、業務の属人化の防止に有効です。業務に特定の担当者しか対応できない場合、担当者の不在時は業務内容を把握している人がいない状態に陥ります。万が一、緊急事態が発生した際に担当者がいないと、大きな問題につながる恐れがあるでしょう。

ナレッジマネジメントツールで情報を共有していれば、担当者に頼らなくても他の従業員が業務内容を把握できます。急ぎの対応が必要な場合も、手の空いている従業員によって対応可能です。

業務が効率的になる

ナレッジマネジメントツールで蓄積している情報や知識は、検索で簡単に探せます。情報や知識を探す手間を削減でき、業務の効率化も実現可能です。

また、業務の前提となる情報や知識が組織に浸透しやすくなり、従業員同士の連携もスムーズに行えます。従業員を教育する際も、最低限の情報や知識から教える必要はなくなります。ナレッジマネジメントツールは、さまざまな角度から業務の進行をサポートできる点も大きなメリットです。

対応力や競争力の向上

ナレッジマネジメントツールには、顧客に関する情報も幅広く蓄積できます。たとえば、顧客から寄せられた意見や商品の満足度といった重要な情報も、分散せずまとまった状態で保管や管理が可能です。顧客に関する情報を組織や部署で共有でき、すべての従業員が顧客の状況を理解しやすくなります。

結果として顧客対応がスピーディになり、適切な改善にもつなげられます。また、顧客からの信頼が高まったり、企業の競争力が向上したりするでしょう。

ナレッジマネジメントツールの選定ポイント

ナレッジマネジメントツールを選ぶ際は、何を意識したらよいのでしょうか。ここでは、選定のポイントを解説します。

操作性に優れているか

ナレッジマネジメントツールは、組織や部署など複数の人同士で情報を共有することを目的に利用します。そのため、操作性が重要です。多くの人にとって利用しやすいツールでなければ、使いこなせず情報を受け取れない人が発生する恐れがあります。誰にとっても使いやすく、スムーズに情報を共有できるかチェックしましょう。

複数のデバイスに対応しているか

ナレッジマネジメントツールは、複数のデバイスに対応していると便利です。ビジネスにおいて主要となるデバイスはパソコンですが、他にもスマートフォンやタブレットなどで利用できると、より幅広い使い方ができます。複数のデバイスに対応しているツールであれば、リモートワークや移動中でも確認でき、スムーズな情報共有の実現が可能です。

使用目的に合っているか

ナレッジマネジメントツールにはいくつか種類があるため、自社の使用目的に合わせて選びましょう。ナレッジマネジメントツールの種類としては、たとえば、分析や戦略の策定に利用できる経営資産・戦略策定型があります。また、社内FAQをまとめたデータベースとして活用したい場合は、ヘルプデスク型がおすすめです。自社の目的に合わないツールを選んでも役立ちにくいため、事前に目的を明確にすることが大切です。

スモールスタートに対応しているか

ナレッジマネジメントツールに限らず、新しいツールを導入する際はスモールスタートが基本です。最初から大規模に導入した場合、現場が混乱して業務が遅滞するリスクがあります。また、思っていたほどの効果を得られず、コストパフォーマンスが著しく低いことが判明する恐れもあります。

まずは特定の部門で運用を開始した後、効果を確認しながら規模を広げていきましょう。そのためには状況に応じて使用範囲を拡大できる、柔軟性の高いナレッジマネジメントツールを選ぶ必要があります。

セキュリティの強度は問題ないか

ナレッジマネジメントツールでは社内の重要な情報を多数扱うため、セキュリティの強度をよく確認することが必要です。また、セキュリティが十分でない場合、自社の機密情報が外部に漏れる可能性があります。安心して情報を保管できる、信頼性の高いナレッジマネジメントツールを選びましょう。

ナレッジマネジメントツールの導入における注意点

ナレッジマネジメントツールの導入にあたっては、気をつけたいこともあります。ここでは、注意点を解説します。

特定の情報を得るのに時間がかかる

ナレッジマネジメントツールで管理する情報や知識が多くなれば、必要な情報を的確に探し出しにくくなります。ナレッジを見つけるまでに時間がかかりすぎる場合、かえって業務の効率や生産性を落とす原因になるため注意が必要です。単にナレッジマネジメントツールに情報や知識を詰め込むのではなく、スムーズに運用する方法も検討しましょう。

適切な検索をしないと効果が薄い

ナレッジマネジメントツールから必要な情報や知識を得るには、適切なキーワードで検索する必要があります。適切なキーワードを選べなければ、欲しい情報になかなかたどりつけません。ナレッジマネジメントツールを活用するうえでは、各従業員が適切な検索をするためのスキルを身につけることが重要です。

大量の情報から取捨選択する必要がある

ナレッジマネジメントツールは大量の情報や知識を蓄積でき、それらすべてにアクセスできます。ただし、大量の情報をすべて活用するとなると時間が多くかかるため、それぞれの状況に応じて必要なものを取捨選択する必要があります。その点を理解しておかないと、情報や知識をうまく使いこなせません。

ナレッジマネジメントの代表ツール

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まとめ

ナレッジマネジメントツールを導入すれば、業務の属人化の解消や業務効率化などを実現できます。自社の目的を確認したうえで、操作性に優れているツールを選びましょう。セキュリティや導入の規模についても事前に確認しておくと安心です。

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