ナレッジマネジメントとは？簡単に意味を解説

ナレッジマネジメントとは、従業員それぞれが保有している知識やノウハウ、経験などを組織内で共有・活用し、企業価値の向上や情報力向上、企業の発展などを実現するための手法です。ナレッジマネジメントを成功させるためには、基本的な手法や実施手順などをしっかりと理解しておかなければなりません。

ナレッジマネジメントが注目される背景

日本では、終身雇用制度により古くからいる従業員から若手従業員への知識の継承が自然と行われる環境でした。しかし、現在では終身雇用制度は崩壊しつつあり、ベテランから若手への知識や経験の継承が難しい状況です。そのため、組織としてナレッジを管理、共有する必要性が高まっています。

また、競争力の激化、テレワークなどの多様な働き方の広まりもナレッジマネジメントが注目される理由です。

ナレッジマネジメントのメリット

ナレッジマネジメントを実施することによって、情報共有がスムーズに行われるようになります。必要な情報や知識を得やすくなるため、業務効率化につながるでしょう。

また、ナレッジを適切に管理し活用することは人材育成にも役立ち、優秀な従業員が持つ知識やノウハウを共有できるため、スキルの底上げにつながります。その他にも、業務の属人化防止や新しいアイデアの創出、イノベーションの創出なども期待できるでしょう。

ナレッジマネジメントのデメリット

ナレッジマネジメントを実施するには、環境や仕組みを整える必要があります。ナレッジマネジメントが適切に運用されるような環境・仕組みの構築には、時間やコストがかかるため注意しましょう。

たとえば、自社に合うツールを選定したり、従業員にナレッジマネジメントの目的や必要性などを周知したりする必要があります。仕組み作りをしっかり行わなければ、スムーズに運用できない、社内に浸透せず活用が難しいという事態になりかねません。

ナレッジマネジメントの導入が向いている企業

ナレッジマネジメントの導入が向いている企業は以下のとおりです。

• テレワークの導入を検討している、または導入している企業
• 業務の属人化や教育に課題を感じている
• 情報共有がスムーズに行われていない

ナレッジマネジメント導入により、在宅でも情報を得やすくなります。また、属人化の防止や人材育成の円滑化なども期待できるため、属人化や人材育成、情報共有に課題のある企業にも向いているでしょう。

ナレッジマネジメントの4つの手法

ナレッジマネジメントは大きく分けて4つの手法に分けられます。ここでは、各手法を詳しく解説します。

ベストプラクティス共有型

ベストプラクティス共有型とは、組織のなかで模範となるような優秀な従業員の知識やノウハウ、成功パターンなどを組織全体で共有して、従業員全体のスキルの底上げを目指す手法のことです。

たとえば、コールセンターなら成約率の高いオペレーターのトークスキルを共有する、営業なら営業成績のよい従業員の交渉スキルを共有するといった形になります。成功事例として共有しやすい、営業部門やコールセンターなどに向いている手法です。

経営資本・戦略策定型

経営資本・戦略策定型とは、従業員が持っている知識をさまざまな観点から分析して、自社の経営戦略に活用する手法です。専用のシステムを導入して、自社や競合他社を分析するケースが多いでしょう。

自社の事例から競合他社までさまざまな面から分析を行い、分析結果をもとにして戦略的な判断を行います。業務プロセスなども洗い出すため、改善すべきポイントなどが見つけやすい手法です。

専門知識共有型

専門知識共有型とは、専門知識をデータベース化したり、知識を豊富に持つ従業員をネットワーク化したりする手法のことです。これにより専門知識にすぐアクセスできるため、課題解決につながる情報をスピーディーに探し出せるようになります。

たとえば、社内で問い合わせの多い内容をFAQ形式にすることで、必要な情報をすぐに手に入れることが可能です。また、問い合わせ対応の効率化にもつながるため、業務負担の軽減にもつながるでしょう。

顧客知識共有型

顧客知識共有型とは、顧客情報をメインに共有・活用する手法です。顧客情報とは、顧客の氏名や年齢などの基本的な情報だけでなく、問い合わせ履歴や内容、クレーム、購買情報などさまざまな情報が含まれています。

たとえば、コールセンターであれば、クレームへの対応方法などを集約してデータベース化することで、同じようなトラブルが起こった際に過去の事例をもとに対応することが可能です。

ナレッジマネジメントの基本的なプロセス

ナレッジマネジメントの基本的なプロセスとしては、SECIモデルが挙げられます。SECIモデルとは暗黙知を形式知化するフレームワークです。SECIモデルでは、以下の4つのプロセスを繰り返します。

1.共同化（Socialization）

共同化とは、同じ体験を通して暗黙知を共有するプロセスです。簡単にいえば、OJTやロールプレイングなどで同じ体験をしてもらうことを指し、体を動かしたり、五感を使ったりすることで暗黙知の相互理解を図ります。

2.表出化（Externalization）

表出化とは、共同化で体験した暗黙知を形式知に変化するためのプロセスです。チームやグループなどで話し合いながら、個人が持っている暗黙知を言語化したりマニュアルに落とし込んだりします。

3.連結化（Combination）

連結化とは、形式知をその他のさまざまな形式知とを連結させて、新たな知識を生み出すプロセスを指します。形式知を連携させることにより、体系的な知識を作り出すことができ、企業の知的資産として蓄積可能です。

4.内面化（Internalization）

内面化とは、連携により生まれた新しい形式知を従業員1人ひとりが実践して、暗黙知に変化させるプロセスです。形式知として変換した知識を実践することで、従業員個人の暗黙知として身に付けられるようになり、生産性向上などにつながります。

ナレッジマネジメントの導入手順

ナレッジマネジメントを導入する際には、以下の手順で行いましょう。

1.目的の明確化
2.情報の選定・担当者の決定
3.ツールの選定
4.運用・改善

まずは、ナレッジマネジメントを導入する目的を明確化させましょう。目的を決め、蓄積する情報の選定や担当者を決めます。ツールを選定する際は、自社に合う機能が搭載されているか、使いやすいかどうかを確認してから導入を検討しましょう。また、ナレッジマネジメントの導入後は、定期的に改善を繰り返していくことが重要です。

ナレッジマネジメントツール・システムの選び方

ナレッジマネジメントツール・システムを選ぶ際には、以下の3つに注目しましょう。

• コスト
• 操作性
• 機能

コスト

ナレッジマネジメントツールを導入する際には、コストが発生します。そのため、自社の予算を事前に決めておき、予算と照らし合わせながらツールの選定を行いましょう。ツールを選定する際には、費用対効果を意識することも重要です。無料トライアルの有無も確認しましょう。無料トライアルがあれば、実際に使ったうえで自社に合うか判断できます。

操作性

ナレッジマネジメントツールは、多くの従業員が利用するものです。そのため、操作性を確認して誰でも簡単に利用できるかどうかをチェックしておくとよいでしょう。操作が複雑すぎると従業員が使いこなせない場合もあるため、シンプルかつ直感的な操作で使えるツールがおすすめです。

機能

ナレッジマネジメントツールによって搭載されている機能はさまざまです。たとえば、情報共有だけでなく、従業員同士でコメントやリアクションができ議論の活性化が図れるツールなどもあります。ナレッジマネジメントを導入する目的を達成するために必要な機能を洗い出して、ピックアップした機能が搭載されているかを確認しましょう。

おすすめのナレッジマネジメントツール

ナレッジマネジメントツールの導入を検討している場合は、「日経ザ・ナレッジ」がおすすめです。NIKKEI The KNOWLEDGEとは、日経が厳選した多数の情報を収集から共有、活用まで行えるツールです。

有料媒体を含む400以上もの情報ソースから情報収集できるだけでなく、AIが個人や組織に必要案情報を自動でレコメンド・分類してくれます。散らばりがちな情報をカテゴリー別に自動で整理してくれるため、手間がかかりません。また、共有した情報にコメントできるため、従業員同士の議論やコミュニケーションの活性化にもつながります。

まとめ

ナレッジマネジメントは、4つの手法があります。導入目的や導入する部署などに合わせて、適切な手法を選びましょう。また、ナレッジマネジメントの実施には、ツールやシステムの導入が欠かせません。コストや操作性、機能などを比較しながら、自社に合ったツールを選定することが大切です。

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