ナレッジマネジメントツールとは？

ナレッジマネジメントツールとは、ビジネスシーンで使われるツールの一種です。主な目的や役割は、業務を通して得られた知識・ノウハウなどのナレッジを、効率的に管理したり共有したりすることです。

ナレッジは有用な情報であり、蓄積や活用ができるとさまざまなメリットを得られます。ナレッジを使いたい場面や必要としている人が適切にアクセスするためには、ナレッジマネジメントツールの活用が有効です。

ナレッジマネジメントツールは無料でも利用可能

ナレッジマネジメントツールは多数の企業から提供されていて、製品やサービスの種類は多岐に渡ります。無料で利用できる製品やサービスがあったり、本来は有料だが無料で利用できるバージョンが用意されたりしています。既製品を導入する以外にも、無料のオープンソースやクラウドサービスを活用して環境を構築することも可能です。

無料ツールに関する注意点

無料で利用できるツールには注意すべき点があります。具体的な注意点と詳細は次のとおりです。

機能が制限されている

本来は有料の製品やサービスの無料版だと、有料版に比べて機能が制限されている場合があります。そのため、導入しても本格的な運用には適さず、充分な効果を得られない可能性が高いでしょう。有料版を導入する前に使い心地を確かめたり、運用のテストとして導入したりするなどの役割には適しています。

サポート体制が不充分な可能性がある

無料のオープンソースやクラウドサービスには、基本的にサポートが存在していません。不明な点やトラブルが発生したとしても、自力での対処や解決が求められます。また、既製品と異なり、マニュアルがあらかじめ用意されているわけではありません。そのため、環境の構築や運用には一定の知識・技術が求められます。

ナレッジマネジメントツールの種類

ナレッジマネジメントツールにはさまざまな種類があります。ここからは、それぞれの特徴や強みを解説するので、参考にしてください。

ヘルプデスク型

ナレッジマネジメントツールのなかでもメジャーな種類として挙げられるものが、ヘルプデスク型です。ヘルプデスク型では、文書ファイルを主軸とした社内ドキュメントをデータベースとしてまとめ、それぞれの情報へ自由にアクセスできる状態にします。

求めている情報を見つけやすくなるため、他の従業員に質問したり解決策を教えてもらったりする手間が減ります。結果として、各々の負担が軽減して効率的に業務をこなせることがメリットです。

業務プロセス型

業務プロセス型のナレッジマネジメントツールは、業務に関する知識やノウハウだけではなく、業務の進め方についてのナレッジ獲得も目指しています。

業務プロセス型のナレッジマネジメントツールが使用される場面は、主にコールセンターです。顧客満足度の高かった回答やプロセスなど、進行方法・手段といった部分をオペレーター間で共有できるため、業務効率化につながります。

経営資産・戦略策定型

ナレッジマネジメントツールの1つとして、経営資産・戦略策定型が挙げられます。部署や個人が保持しているナレッジを分析して、経営戦略の策定に活用することが目的です。主な分析方法は、軸となる成功事例とそれらの疑似例を比較して、成功に至った要因を洗い出すことです。

扱うデータの量が膨大になりがちなので、整理や分析のために別途でデータウェアハウスといったツールを活用することもあります。

ベストプラクティス共有型

ベストプラクティス共有型も、ナレッジマネジメントツールの種類の1つです。言語化されていない知識である暗黙知を、形式知化することを目的としています。主に優秀な成績や結果を残している従業員を対象として、その従業員の知識や行動、思考などの目に見えない情報を形式知化します。

しかし、対象となる従業員の協力が必要であり、技術面的にもシステム構築が難しいなどハードルが高い点に注意が必要です。

ナレッジマネジメントツールを選ぶ際のポイント

ナレッジマネジメントツールを選ぶ際にはいくつかのポイントがあります。具体的なポイントとそれぞれの詳細は次のとおりです。

目的や用途に適しているか

ナレッジマネジメントツールを選ぶ際は、目的や用途に適している機能・特徴を持っているかが重要です。また、ナレッジマネジメントツールの導入にはコストや時間がかかります。そのため、実際に導入したり運用を開始したりする前に、シミュレーションして使用感や想定している効果を得られるかを確認しましょう。

利便性が高く扱いやすいか

ナレッジマネジメントツールは多くの人が使うことが想定されるため、利便性の高さや扱いやすさも選ぶ際に大切なポイントです。操作性が悪かったり、専門性が高すぎたりする場合は、導入しても効果を充分に発揮できない可能性があるため注意しましょう。

充分なセキュリティ対策がされているか

ナレッジマネジメントツール選びにおける重要な点として、充分なセキュリティ対策がされているかが挙げられます。基本的に社内の情報を取り扱うため、内容が社外に漏れないようにセキュリティは必須です。既製品を導入する際にセキュリティの強度を確認するのはもちろん、自社で独自にツールや環境を構築する場合も、充分なセキュリティを確保する必要があります。

マルチデバイスに対応しているか

マルチデバイスに対応しているかも、ナレッジマネジメントツールを選ぶときのポイントです。主なデバイスの種類には、パソコンやスマートフォン、タブレットなどが挙げられます。

特に、スマートフォンやタブレットなど、持ち運びがしやすいデバイスに対応していると効果的です。アクセスに関して場所や時間などの制約を受けづらく、業務の効率や生産性の上昇に貢献しやすいでしょう。

無理のないコストで運用できるか

ナレッジマネジメントツールの導入や運用を検討している場合、無理のないコストで運用できるかも判断基準になります。目的に合っていたり、よい効果が見込めたりするナレッジマネジメントツールでも、コスト面で負担が大きすぎると企業の経営にも悪影響が出かねないからです。

ナレッジマネジメントツールのメリット

ナレッジマネジメントツールを利用すると、さまざまなメリットを得られます。それぞれの詳細を解説するので、参考にしてください。

業務の効率が上がる

ナレッジマネジメントツールのメリットとして、業務効率が上がることが挙げられます。個人が各自保持している知識や、少人数だけで共有されているノウハウなどをまとめて一元管理できるためです。新たなナレッジを得られた際も、ツール上に追加するだけで共有が完了するので、時間や手間をかけずに済みます。

属人化の予防や解消ができる

属人化の予防や解消がしやすいことも、ナレッジマネジメントツールを使用するメリットの1つです。知識やノウハウを容易に共有できるので、一定の業務を特定の人しか対応できない事態が発生しにくくなります。

また、属人化を防げると特定の従業員が退職や休職などで業務に対応できなくなった際でも、業務の効率を維持しやすいでしょう。

情報やノウハウを蓄積できる

情報やノウハウを蓄積できることも、ナレッジマネジメントツールのメリットです。各所から情報やノウハウなどを集めて一元管理すると、散在が防がれて蓄積のスピードが上がります。結果として、各々がほしい情報がどこにあるか分かりやすくなり、情報へのアクセスが容易になるメリットもあります。

情報共有が円滑になる

ナレッジマネジメントツールに情報を集めてアクセスできるようにすれば、情報共有を円滑に行うことが可能です。なぜなら、情報共有のために時間を割いたり、個別にコミュニケーションを取ったりする手間が省けるからです。個別にほしい情報を得られるようになれば、業務効率や生産性の向上にもつながります。

ナレッジマネジメントツールで注意するポイント

ナレッジマネジメントツールには、いくつか注意するべきポイントがあります。具体的な注意点とそれぞれの詳細は次のとおりです。

導入するのにコストがかかる場合がある

有料版のナレッジマネジメントツールを導入したい場合はコストがかかります。費用については製品やサービスによっても異なるため、事前に確認しましょう。さらに、導入だけではなく運用にもコストがかかることが多いので、予算や規模感をあらかじめ想定しておく必要があります。

目的や用途に合ったツールを選ぶ

ナレッジマネジメントツールの種類は多岐に渡り、備わっている機能や特徴が異なるため、目的や用途に合ったツールを選びましょう。自社の目的や用途に合っていないナレッジマネジメントツールを導入しても活用しきれません。対策として、事前にシミュレーションをしたり、小規模で導入して試したりすると失敗を招きにくいでしょう。

運用して活用できる体制を整える

運用して活用できる体制を整えておくことも、ナレッジマネジメントツールに関する注意点として挙げられます。ナレッジマネジメントツールを導入しても、活用できなければ効果は望みにくいからです。また、小規模な範囲で導入して運用に関する経験やノウハウなどを蓄積することもおすすめです。

まとめ

ナレッジマネジメントツールの概要や種類、選ぶ際のポイントやメリット、注意するべきポイントなどについて解説してきました。ナレッジマネジメントツールは、種類によって機能や強みが異なります。そのため、自社の目的や状況に合ったツールでないと、効果を発揮しにくいでしょう。

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