古いナレッジマネジメントの特徴と問題|近年の方法からポイント・システム選定方法を解説

古いナレッジマネジメントの特徴と問題
近年の方法からポイント・システム選定方法を解説

古いナレッジマネジメントのままでは、取り組みが社内に浸透せず、成果も挙げられません。
この記事では、古いナレッジマネジメントが引き起こす問題を解説します。
新しいナレッジマネジメントや、役立つシステムの選び方なども紹介します。
ぜひ参考にしてください。

ナレッジマネジメントとは暗黙知を共有し活用すること

ナレッジマネジメントとは、従業員個々が蓄積してきた「暗黙知」を「形式知」に変換し、情報を社内で蓄積・共有することです。暗黙知は、知識やスキルのうち言語化されていないものを指します。経験豊富な従業員は、多くの暗黙知を抱えています。しかし、言語化されていない暗黙知は他の従業員へ共有されず、業務の属人化が発生し、組織の成長が妨げられます。

形式知は、言語化された知識やスキルです。暗黙知を形式知に変換できると、マニュアルや作業標準書などを作成でき、情報を社内で蓄積・共有できます。

ナレッジマネジメントの誕生と重要度の高まり

ナレッジマネジメントが誕生してから、近年注目を集めるまでになった経緯を解説します。

1.ナレッジマネジメントの誕生

ナレッジマネジメントの概念が誕生したのは、1980年代です。1990年代に入るとパソコンが普及しました。しかし、近年のナレッジマネジメントと比べると、1990年代のものは形式的なものといわざるを得ません。

当時ナレッジマネジメントに失敗した企業の多くは、「操作が難しすぎる設備を導入してしまった」「ベテラン従業員が知識やスキルを周囲と共有したがらない」などの課題を抱えていました。

2.ナレッジマネジメントへの理解と活用

再びナレッジマネジメントが注目されたのは、2000年代に入ってからです。ナレッジマネジメントに成功した企業は、システムを導入するだけではなく、ルールや仕組みづくりも重視しています。ナレッジマネジメントは従業員の協力を得て成し遂げるもので、日常的に情報を共有・蓄積できる環境がなければ取り組みが定着しません。

近年は、AI技術、ビッグデータなどが注目され、ますますナレッジマネジメントの重要性が高まっています。

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古いナレッジマネジメントの3つの特徴

古いナレッジマネジメントは、企業の成長を妨げます。古い取り組みの特徴を押さえ、社内の状況と比べてみましょう。

1.ナレッジマネジメントシステムを導入していない

紙やワード、エクセルなどを使ったナレッジマネジメントは、古い取り組みといえます。新しいやり方では、ナレッジマネジメントシステムの活用が推奨されます。

2.担当者がいない

専任の担当者がいない場合も、古いナレッジマネジメントといえます。新しいやり方では、組織や部門、チームごとに担当者を決め、それぞれの担当者がナレッジマネジメントを主導します。

3.ルールや制度が整備されていない

ナレッジマネジメントシステムを導入しても、マニュアルやルール、取り組みを評価する制度がなければ運用できているとはいえません。ナレッジマネジメントは継続してこそ価値を発揮するため、ルールや制度の整備は重要です。

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古いナレッジマネジメントが引き起こす問題

古いナレッジマネジメントによる問題を解説します。間違ったやり方が企業に与える影響を把握し、見直しを検討しましょう。

ナレッジを検索できない

紙やワード、エクセルなどで情報が蓄積されていると、スムーズにデータを検索できません。必要なときに素早く情報を見つけられなければ、業務効率が低下します。検索エンジンを使うように、曖昧な言葉でも目的の情報を見つけ出せるナレッジマネジメントシステムの導入が望まれます。

ナレッジに閲覧制限を設けにくい

エクセルやワードでは、「ファイル内の全ての情報を閲覧できるか、全く閲覧できないか」の2パターンでしか閲覧制限を設定できません。

細やかに閲覧制限を設定できなければ、複数のファイルに分けて情報を管理する必要に迫られ、機密情報が流出するリスクも高まります。必要な範囲で情報を共有できるように、情報ごとに閲覧制限をかけられるシステムを導入しましょう。

取り組みが形骸化する

担当者がいなければ、システムに情報が蓄積されても整理・共有が進みません。また、ルールや制度が整備されていないと、従業員はナレッジマネジメントに取り組めません。担当者を決め、ルールや制度を整備したうえで、ナレッジマネジメントに取り組むメリットを従業員に伝えましょう。特に、暗黙知を豊富に蓄えているベテラン従業員の協力を得ることが、有益な情報を組織で蓄積・共有するポイントです。

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【要注目】新しいナレッジマネジメントのキーワード

個々が持つ暗黙知を収集し、円滑に形式知に変換するために、以下の3つのキーワードを把握しておきましょう。

  • SECIモデル
  • 知的資産
  • 場(ba)

1.SECIモデル

SECIモデルとは、個人の持つ暗黙知を形式知に変換して、組織全体に浸透させるフレームワークです。

  • S:共同化(暗黙知を生み出す)
  • E:表出化(暗黙知を形式知に変換し、組織に共有する)
  • C:結合化(形式知同士を結びつけ、業務にとって有益な情報とする)
  • I:内面化(結合化された形式知を個々が習得する)

SECIモデルを循環させると、ナレッジマネジメントにより組織が成長します。

2.知識資産

ナレッジマネジメントで取り扱う情報は、以下の4つの知識資産に分けられます。

  • 恒常的知識資産(組織内では一般的な情報)
  • 経験的知識資産(経験を通じて得られる情報)
  • 概念的知識資産(経営理念、行動指針などの情報)
  • 体系的知識資産(マニュアル化- ルール化された情報)

情報を企業の資産として認め、定期的に継承する制度をつくることが、ナレッジマネジメントを成功させるポイントです。

3.場(ba)

場(ba)とは、ナレッジマネジメントが行われる場所です。場では、情報が共有・活用されます。打ち合わせや飲み会などのリアルな集まり以外に、ナレッジマネジメントシステムや社内SNSなどのバーチャルな空間も場と見なされます。

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古いナレッジマネジメントを卒業する4つの方法

古いナレッジマネジメントを卒業する方法を解説します。がらりとやり方を変えるのではなく、少しずつ新しいやり方を浸透させましょう。

1.ナレッジマネジメントに取り組む環境を整備する

ナレッジマネジメントでは、収集した情報を企業の目的達成に向け活用します。まずはどのような情報を集めるかを決め、SECIモデルの使い方や、ナレッジマネジメントの重要性を周知してください。ナレッジマネジメントが形骸化しないように、個人の取り組みを評価する仕組みや制度も考えましょう。

2.企業に合うナレッジマネジメントシステムを導入する

効果的なナレッジマネジメントには、専用のシステムが欠かせません。ただし、いきなり高機能なシステムを導入しても持て余す可能性が高いと考えられます。高機能なシステムではなく、企業の目的に合う機能が備わったシステムを導入しましょう。ナレッジマネジメントシステムの選び方は、のちほど詳しく紹介します。

3.小規模からスタートする

特定の部門やチームなど、小規模でナレッジマネジメントの成功事例を作ってから、社内に展開しましょう。いきなり全社規模でシステムを導入しても、重大なトラブルが発生する、押し寄せる問い合わせへの対応に追われるなどして、取り組みが進まない可能性があります。

試験的に導入する段階で、使用感を踏まえてマニュアルを作成し、起きがちなトラブルへの対処法をまとめておくことをおすすめします。

4.外部の情報も積極的に収集する

企業内のナレッジマネジメントも大切ですが、外部からの情報も活用してください。新しい情報を外部から取り入れると、提案や企画の質が変わります。同じ企業のメンバー同士で話をしていると、いつのまにか固定観念にとらわれているかもしれません。外部から得られる情報は、斬新でトレンドを押さえたアイデアを生み出すきっかけとなります。

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新しいナレッジマネジメントに向けたシステムの選び方

新しいナレッジマネジメントに向けたシステムの選び方を解説します。長期的な運用を想定し、自社に合うシステムを導入しましょう。

従業員の求めるナレッジを収集・提供できるか

社内外を問わず従業員の求める情報を提供できないと、ナレッジマネジメントシステムの導入にメリットを感じてもらえません。ただし、社会にあふれる情報は膨大です。効率よく必要な情報を得たいときは、個人や組織にマッチする情報をAIがレコメンドしてくれるシステムが役立ちます。

セキュリティ体制は十分か

情報漏洩の恐れがあるため、セキュリティが脆弱なナレッジマネジメントシステムは危険です。無料のシステムには、セキュリティ面に課題があるものも少なくありません。どのようなセキュリティ体制を敷いているか慎重に確認しましょう。

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