職場の情報共有は、生産性向上やリスクマネジメントなどを考えるうえで重要です。しかし、情報共有に課題を持つ企業は少なくありません。この記事では、主にマネジメント層に向けて、情報共有に問題を抱える企業の特徴や原因、対策などを解説します。情報共有の課題を解決し、低リスクで効率的な職場運営を実現できるよう、参考にしてください。

職場における情報共有とは

職場における情報共有とは、業務の進捗状況や、業務に関連する経験あるいは知識などをチーム全体で共有することを指します。進捗情報の共有だけでなく、各人がもつノウハウやナレッジも共有されていることがポイントです。情報共有がきちんと行われている職場では、業務効率化やコスト削減といった効果を期待できます。

職場で情報共有できないことで生じる問題・リスク

情報共有がスムーズに行われていない職場では、さまざまなリスクが生じます。ここでは、情報共有の不足によるリスクを解説します。

職場の生産性が下がる

情報共有が不足していると、職場全体の現状把握ができず、進捗状況がわからないため生産性が下がってしまう恐れがあります。お互いの現状が把握できていないと、トラブルがあったときはもちろん、1人が休んだときや複数人数で協力したいときに適切な対応ができません。結果としてお互いの連携がとれず、職場全体の生産性が下がります。

業務リスクが高まる

職場での情報不足が原因となり、トラブルにつながるリスクが高まります。たとえば顧客からクレームがあったときに、受付が完了しても対応担当者に情報が伝わらなければ、クレームをそのまま放置してしまうことになりかねません。製造業などでは、情報伝達が不十分だったために機器を誤操作する問題が起こることもあり、注意が必要です。

職場の業務が属人化してしまう

情報共有ができていない職場では、業務が属人化してしまいがちです。例えば、特定の業務をいつも決まった人が行い、他の人はやり方を全く知らない職場では、その人が退職するとノウハウもナレッジも蓄積されていないため、業務が滞るでしょう。結果的に、情報共有の不足が原因で組織が弱体化してしまいます。

職場の人間関係が悪くなる

情報共有の不足は、職場において人間関係の悪化を招きます。なぜなら、「言った」「言わない」で口論になったり、「言ってくれればミスを防げた」といった不満を抱えたりすることが増えるためです。人間関係の悪化は、離職原因のなかでも大きな割合を占めています。つまり、情報共有の不足によって人材が定着しなくなる恐れもあるといえるでしょう。

職場で情報共有が進まない企業の特徴

職場で情報共有が進まない企業には同じような特徴があります。ここでは、情報が共有がされにくい企業の特徴をまとめました。

情報共有しにくい職場の雰囲気・社風がある

そもそも職場全体に情報共有をしにくい雰囲気があると、情報共有が進みません。上下関係が過剰に厳しい場合や、「仕事は上司や先輩を見て学べ」といった社風がある場合などが該当するでしょう。部下から上司へ質問すると怒られてしまう、質問することに恐怖感をもってしまう状況になっている職場は、スムーズな情報共有は難しくなります。

縦割り組織になっている

組織が縦割りになっており、部署間に高い垣根があるケースも情報共有が進まない要因です。他部署からの情報が入りづらい環境では、限られた情報だけしか共有できないケースが多くなるでしょう。

閉鎖的な組織では、各部署内において密な情報共有が行われやすく、情報の精度は高くなりやすい点はメリットです。しかし、部署を超えた情報共有ができない状態では古い情報だけにとどまってしまい、鮮度の高い情報が入りづらくなります。

職場に過度の競争や成果主義がある

職場内で行きすぎた個人単位の成果主義、あるいは出世にかかわる競争などがある場合、各々が情報共有を避けて個人プレーに走りがちです。情報共有をすることで他人が成果を上げれば、自分が不利な立場に立たされるのがわかっているため、情報を出し惜しみする従業員が多くなる恐れがあります。

情報共有の手段が非効率

情報はあっても、非効率的な手段で共有されている情報は整理されておらず、活用できないケースがあります。例えば、メールで一斉送信する方法は、共有はできても整理はできない非効率的な方法です。これでは重要な情報が埋もれてしまい、情報を整理・保存することもできないため、仕事の効率化や生産性の向上につながりません。

職場で情報共有が進まない原因

職場内で情報共有をしようと思っても、なかなか共有が進まないのにはさまざまな原因があります。職場内で情報共有の妨げになりやすい原因を探ってみましょう。

職場で情報共有の意識が低い

職場内で情報共有の意義が共有されていないと、情報共有をすべきであるという意識が低いままになってしまうことがあります。情報共有といっても、そもそも何を共有するべきかが理解できていないケースもあり、情報共有が進まない大きな原因となるでしょう。「自社にとって情報共有とは何か」といった部分から見直す必要があります。

職場で情報共有のルールがない

情報共有をするという意識があっても、明確なルールがなく個人の裁量に任されていると、情報共有がうまくいかないことがあります。情報共有の連絡フローが決まっていない場合や、日時・場所・担当者名・業務内容など、報告内容のフォーマットが決まっていない場合は、ルールを明確化する必要があるでしょう。

情報共有のフィードバックができていない

情報共有をしてもフィードバックができていないと、情報共有の習慣が根付かないため注意が必要です。情報共有に対してレスポンスがないと、報告をしても意味がないと思ってしまう従業員が多くなります。結果的に報告・連絡・相談が形骸化してしまうと、高い成果に結びつきません。

急ピッチで職場にテレワークを導入した

社会情勢の変化に合わせて取り急ぎ職場にテレワークを導入したものの、情報共有の手段が確立できないままになっているケースがあります。テレワークによるコミュニケーションの希薄化は、近年問題になることが少なくありません。

対面で話す機会が減少しても、情報共有そのものを円滑に行うことは可能です。しかし、対面コミュニケーションが希薄になって信頼関係を築き上げにくくなると、情報が行き渡らない要因になりえます。

職場の情報共有を促進するための改善策

職場の情報共有を促進するために、どのような施策をとればよいのでしょうか。情報共有をスムーズに行うための改善策を解説します。

情報共有に対する意識改革

職場内で意識改革を行い、情報共有しやすい風通しのよい雰囲気を作りましょう。企業風土や厳しい職場環境によって情報共有が妨げられていた場合、根本的な改革が必要です。例えば、ミーティングを増やす、部下が率直な意見を言える雰囲気作りをするといった方法が考えられます。職場のリーダーが率先して取り組み、従業員を巻き込みながら進めていきましょう。

職場に情報共有のルールを明確にする

情報共有の方法について明確なルール作りをすると、その後の情報共有がスムーズになります。誰に、いつ、何の情報を、どのような方法で共有するか、明確に定めてマニュアル化しましょう。とりわけ情報共有の方法は、重要な内容は口頭で、日常的な情報はチャットを使うなど、連絡手段だけでなくフローも決めることで抜けや漏れを防げます。

情報共有を効率化するITツールを導入する

ビジネスチャットツールやWeb会議システムなど、情報共有を効率化させるツールを導入すると、情報共有を効率的に行えるようになります。ITツールにはさまざまな種類がありますが、情報共有は職場全員が関わるため、全員が使いやすいツールを選ぶことが重要です。試用期間や無料のサポートなどを有効活用し、よく検討しましょう。

部署・チームの橋渡し役を決める

せっかく情報共有の取り組みを始めても、共有が途中で止まってしまう場合があります。とりわけ部署間、チーム間の情報共有は停滞しがちです。他チームや他部署に情報共有を行う担当者を決めておくと、情報の停滞が防ぎやすいでしょう。また、橋渡し役となる担当者をローテーションさせることで、情報共有の意識を高める方法もあります。

まとめ

情報共有は、チームや部署を超えてスムーズに行うのが理想的です。社内全体の情報共有ができていれば、知識やノウハウを最大限に活用し、各部署で高い生産性を発揮できるでしょう。効果的な情報共有には、スムーズな共有を助けてくれるITツールが欠かせません。

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