マーケティングリサーチ会社の種類|得意分野で見る会社ごとの特徴・選び方を解説

マーケティングリサーチ会社の種類
得意分野で見る会社ごとの特徴・選び方を解説

企業経営では消費者のニーズや市場の動向などを踏まえておく必要があるため、市場調査結果に基づくマーケティングの重要性が高まっています。
しかし、市場調査の依頼先となるマーケティングリサーチ会社について、選ぶべきポイントが分からない人もいるかもしれません。
この記事では、マーケティングリサーチ会社の種類や選び方について詳しく解説します。

マーケティングリサーチ会社の3つの業務内容

マーケティングリサーチ会社とは、クライアントの要望する市場調査を代行する業者です。ただ、会社ごとにそれぞれ得意分野があり、依頼できる範囲も異なります。マーケティングリサーチ会社の主な3つの業務について、以下の段落で詳しく解説します。

1.リサーチ設計

リサーチを行うにあたり、クライアントの意向を読み取ったうえで適切なリサーチ方法を検討します。リサーチ設計で考える主な内容は、具体的な調査方法や収集するサンプル数などです。また、コスト削減の観点から、既存の調査結果資料の活用可否も検討します。

2.リサーチ

リサーチの設計が固まったら調査方法にしたがって調査票を作成し、調査に入るというのが一般的な流れです。回答が返ってこない場合は催促し、できる限り多くのデータを収集します。調査票は回答する意欲をそがない分量にする、回答しやすい構成にする、誘導質問にならないように工夫するなど、細かい配慮をしながら進めていきます。

3.レポート作成

調査が終わったら回収した調査票をもとに分析を行い、クライアントの依頼に対応する形でレポートを作成します。どの程度まで掘り下げるのか、分析のレベルは依頼先によってさまざまです。クライアントの要望や調査の目的に合わせ、適切な分析方法で行います。

得意分野で見るマーティングリサーチ会社の種類

マーケティングリサーチ会社といっても、それぞれ特徴があります。ここでは特に得意分野に絞って違いを解説します。

カバー範囲が広い業界大手の会社

マーケティングリサーチ会社のなかでも、特に業界大手の会社はカバー範囲が広い特徴があります。その分、総合的なマーケティングリサーチが可能になるのはもちろん、大手ならではの独自のデータを閲覧できる可能性があるのも強みです。実績も豊富なメリットがありますが、一方で依頼にかかる費用が高くなりがちなデメリットもあります。

インターネットリサーチが得意な会社

インターネットリサーチに強く、実績も豊富な会社もあります。インターネットリサーチは、短期間で多くのサンプルを得られるところが大きな特徴です。スピーディにマーケティングを進められるメリットがあるものの、インターネットをあまり活用しないターゲットに対する調査には、不向きなデメリットがあります。

BtoB調査が得意な会社

消費者ではなく、企業を対象としたBtoB調査に強いマーケティングリサーチ会社もあります。BtoB調査が得意なところは網羅性の高い調査結果を得やすく、企画や営業、新規事業開発などに活かしやすいのがメリットです。ただし、調査の回答率が低くなると企業の属性に偏りが生じ、調査結果にも営業をおよぼすリスクがあります。

コンサルタントが得意な会社

調査だけではなく、コンサルティングも依頼したいのなら、事業コンサルティング視点のある会社に依頼する方がおすすめです。調査データの取得や分析に加え、事業全体についても相談できます。ただし、それぞれの会社には得意分野があるため、依頼内容とマッチしていないと、せっかく集めたデータが活用できません。

UXリサーチが得意な会社

UXは、ユーザー体験を意味するユーザーエクスペリエンスから取った略語です。近年では単に商品を販売する、サービスを提供するだけではなく、より支持されるユーザー体験を作り出すことが大切になっています。

UXリサーチの得意な会社に依頼するメリットは、インタビューをはじめとする定性データにより、ユーザーの潜在ニーズやインサイトを得られることです。ただし、エゴやバイアスが働くとデータを活用できなかったり、調査対象者の偏りによって精度が低くなったりするデメリットもあります。

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マーケティング会社の3つの調査手法

マーケティングリサーチは主に以下で解説する3つの調査手法で実施され、それぞれメリット・デメリットがあります。

1.定量的な調査

定量調査は、量や人数、割合など、集計・分析の結果を明確に数値として表せる手法です。グラフや表にもまとめやすく、第三者に対しても説得力があります。多くの回答を短期間で集められ、誤差が生じにくいのもメリットです。

リサーチの方法は電話や郵送、訪問によるアンケート調査、会場調査や来店者に対する調査などがあります。ただし、質問や選択肢をはじめとしたリサーチ設計によって結果が変化したり、深い回答が得られない可能性があったりするのはデメリットです。

2.定性的な調査

定性調査は調査対象の意見や行動などを質的に捉える調査で、定量調査のように数値化はできません。手法はグループインタビューや1対1で行うデプスインタビュー、行動観察、覆面調査などがあります。

定性調査では消費者の生の声を聞けるメリットがある一方、集められる回答数が限られているため、全体的な傾向を把握したいケースには不向きです。また、調査に手間やコストがかかったり、インタビュアーや観察者によって得られる回答に違いが生じたりするなど、複数のデメリットがあります。

3.MROC(Market Research Online Community)

定量調査と定性調査に加え、インターネットの普及でMROCという手法も使われるようになってきました。MROCは、調査の対象となる消費者をインターネット上のコミュニティに集め、一定の期間やりとりを観察する手法です。

MROCでは、想定していなかった消費者の心理や欲求が抽出できるメリットがありますが、結果を知るには1週間から1年程度の期間を要します。実施にあたってはコミュニティが成立しなければ実施が難しい、有効なインサイトの抽出には技量が必要などの注意点があります。

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マーケティングリサーチ会社の6つの選び方

実際にマーケティングリサーチ会社を選ぶ際は、以下で解説する6つのポイントを確認したうえで判断してください。

1.予算

マーケティングリサーチ会社はそれぞれ強みを持っていますが、多くは複数の調査手法を駆使してマーケティングを行っています。手法によって料金も異なるため、まずは見積もりを取り、予算内で依頼が可能な内容かどうかを判断しましょう。

2.調査期間

同じリサーチ内容であっても、依頼先によって費用や調査の期間は変わります。他社に先を越されないためには、限られた時間で準備を進めなければならないケースもあるでしょう。結果を得るまでに時間がかかりすぎると、商品開発などの業務が進められません。正確なデータを素早く得たい場合は、調査期間を重視して選ぶのがポイントです。

3.リサーチ方法

先述した定量調査と定性調査、MROCには、それぞれメリットと注意点があります。全体的な傾向を知りたいのか、ターゲットとなる消費者の感想やニーズをより深掘りしたいのかなど、リサーチを行う目的によって適したリサーチ方法も違ってきます。リサーチの目的を確認し、目的を達成できるリサーチ方法に対応している会社を選ぶことが大切です。

4.依頼できる範囲

分析やコンサルティングは別料金となる会社が多いため、業務のカバー範囲と費用体系も確認する必要があります。リサーチの結果だけを把握できればいいのか、その後の分析やコンサルティングまで依頼したいのか、まずは自社内ではっきりさせ、見積もりを取る際にも依頼内容と費用を確認してください。

5.品質

マーケティングリサーチにおける品質とは、データの正確さや精度です。注目するポイントとしてはリサーチで確保できるサンプル数や、悪質な回答に対する対策の有無などがあげられます。また、アンケート画面の見やすさも大事なポイントです。望む形でのアンケートが可能かどうか、モバイルに対応しているかどうかなどもチェックしてみてください。

6.サポートの手厚さ

マーケティングリサーチ会社には「従来型」と「セルフ型」のサービス形態があります。セルフ型は、調査票の設計から集計・分析など一連の作業を自社で行えるサービスで、コストを抑えつつスピーディに調査できることがメリットです。

ただし、適切に調査を実施できなければ、精度の高い結果を得られない可能性があります。そのため、リサーチ初心者は手厚いサポートを受けられる会社を選ぶのがおすすめです。担当者の提案力も重視して選ぶと、なお心強いでしょう。

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マーケティングリサーチ業界の動向

「一般社団法人 日本マーケティング・リサーチ協会」が発表した第48回経営業務実態調査によると、リサーチ・調査業界の市場規模は拡大しています。2022年度の日本市場調査(NR)業界の市場規模は、推計で前年度に比べ、9.9%増の2,590億円となりました。それだけ多くの企業がリサーチを重視する状況を示しています。

既存のリサーチ領域がこの数年でなくなることはないでしょう。ただ、デジタル技術の進化でマーケティングリサーチの分野も転換期にあり、今後はデジタルデータ分析の市場規模拡大が予想されます。加えてコンサルティングのニーズも増えると予想されています。

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まとめ

リサーチの手法にはいくつかの種類があり、マーケティングリサーチ会社自体の得意分野もさまざまです。企業経営ではますますマーケティングの重要性が高まっており、自社の状況に合わせて適切なマーケティングを行う必要があります。

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