GX（グリーントランスフォーメーション）とは

GXとは、持続可能な社会システムを構築する取り組みです。GXは「Green Transformation」の略で、太陽光発電をはじめとしたクリーンエネルギーを利用します。企業がGXに取り組むと、地球の環境問題の解決だけでなく、自社のブランド力や競争力などの向上につなげられます。

GXとカーボンニュートラルの違い

カーボンニュートラルとは、二酸化炭素が排出される量と吸収する量を同じにする取り組みです。GXは二酸化炭素の排出量を削減する取り組みを指します。カーボンニュートラルはGXにおける活動の1つに含まれます。カーボンニュートラルは脱炭素と違い、排出量0を目指すわけではありません。

GXとDXの違い

DX（デジタルトランスフォーメーション）は、デジタル技術を用いた社会の変革のことです。GXの実現にはデジタル技術の活用が欠かせないため、DXとGXの関連性は深いといえます。たとえば、電気自動車は二酸化炭素排出を抑えるため、地球にやさしい自動車にデジタル技術が欠かせません。

GXの必要性が高まる背景

GXは地球規模で必要とされる取り組みです。ここでは、GXの必要性が高まる背景を解説します。

地球温暖化が進んでいる

地球の平均気温は、18世紀の産業革命時よりも1℃以上上昇しています。地球温暖化は、二酸化炭素の排出が原因とされるものです。石炭や石油などを燃焼させることによって、地球の気温が上昇します。地球の温度が上がると、豪雨や干ばつのような異常気象を引き起こし、食料不足や物流機能の低下などの悪影響を及ぼします。

資源の枯渇が懸念されている

地球の資源である石炭や石油・天然ガスなどには限りがあります。現在のように資源を使い続けると、近い将来に枯渇するといわれています。日本のようなエネルギーを輸入している国は、経済の不安定が起こる可能性が高まるでしょう。GXによって、エネルギーの安定と経済をどちらも両立させることが重要です。

GXが重要な投資分野に含まれている

GXは国の重点投資分野として指定されています。政府は民間投資を前倒しして、150兆円以上の投資をすると表明しました。資金は製造業の省エネ・燃料転換や脱炭素目的のデジタル投資、次世代自動車などに充てる予定です。GXの投資によって新たな産業の創出や経済の活性化を目指しています。

※参考：GX実現に向けた基本方針（案）について｜経済産業省

GXとESG投資の関連性

ESG投資とは、以下3つの投資先の略です。

• E：環境（Environment）
• S：社会（Social）
• G：企業統治（Governance）

昨今、投資先として、社会や地球環境などへの配慮が求められています。政府はGX投資150兆円に加えて、世界中からESG投資を呼び込むことを計画しています。

※参考：ESG投資について｜財務省

国によるGXの施策

GXは、国全体で協力して行う取り組みです。ここでは、国によるGXの施策を解説します。

GXリーグ基本構想

GXリーグ基本構想とは、経済社会システム全体の変革を議論し、実施する概念を指します。政府や大学・金融機関が一体となり、GXに挑戦する企業と協力して問題の解決に取り組みます。GXリーグに参加する企業の取り組みは、主に以下の3つです。

• 自社の温室効果ガスの排出量を削減する
• サプライチェーンにおける排出量を削減する
• 製品の製造過程や使用段階で排出量を削減する

※参考：GXリーグ基本構想｜経済産業省

GX実行会議

GX実行会議とは、GXの推進を目的とした会議です。2022年7月、岸田内閣によって、以下2つの論点が議論されました。

• 日本のエネルギーの安定供給の再構築に必要となる方策
• 脱炭素に向けた経済- 社会、産業構造変革への今後10年のロードマップ

2022年12月まで5回にわたって会議が実施され、2023年2月に「GX実現に向けた基本方針」が決定しています。

※参考：令和5年11月28日 ＧＸ実行会議 | 総理の一日 | 首相官邸ホームページ

企業がGXに取り組むメリット

企業がGXに取り組むと、長期的な利益につながります。ここでは、企業がGXに取り組むメリットを解説します。

コストの削減につながる

企業がGXに取り組むことで、石炭や石油などの燃料の使用量が減少します。燃料費や光熱費などのコスト削減につながり、利益の向上が期待できるでしょう。たとえば、太陽光発電システムを導入すると、自社で電力を生産して消費できます。今後、企業はコストを抑えた新エネルギーを使用できる可能性もあります。

企業のブランド価値を高められる

企業がGXを推進すると、地球環境に貢献することをアピールできます。取引先や消費者などから信頼が得やすくなり、ブランド価値を高めることが可能です。Gリーグに参画すると、政府から環境に貢献する姿勢に対する信頼の証明を得られます。企業のイメージが向上すると、競争力も高められるでしょう。

人材を確保しやすくなる

GXに取り組む企業は、社会貢献する姿勢が評価され、自社のイメージを向上させられます。GXの活動は就活や転職などでアピールできるため、人材の獲得につなげられるでしょう。先進的な運営が認知されやすくなり、低コストで優秀な人材が集まりやすくなります。企業の理念のもとに人材が集まると、離職率の低下にもつながります。

補助金を利用できる

GXには多額の投資が予定されているため、企業は補助金を活用できます。たとえば、「ものづくり補助金」は、制度変更に対応できるように設備投資の援助が受けられます。「事業再構築補助金」は、新市場進出や事業再構築などを支援する制度です。どちらも中小企業や小規模事業者を支援する制度で、企業のGXの施策に活用できます。

※参考：トップページ｜ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
※参考：グリーン成長枠の想定事例｜活用イメージ集｜事業再構築補助金

企業がGXに取り組むデメリット

GXの取り組みは、費用や周囲への説得などの課題があります。ここでは、企業がGXに取り組むデメリットを解説します。

初期投資に費用がかかる

企業がGXに取り組む際は、設備投資をはじめとした費用がかかります。省エネルギーや再生可能エネルギーなどは、設備導入時のコストがかかります。新規の設備を導入する際は、専門的な知識や技術などの人材を獲得することも必要です。設備には初期投資だけでなく、維持費がかかる点にも注意しましょう。

ステークホルダーから理解されない可能性がある

GXの取り組みは、短期的に利益が出るものではありません。企業は長期的な視点からGXを推進する必要があるため、従業員や顧客から理解されない可能性があります。そのため、投資の必要性や取り組みの選定などに対する理解を得ることが重要です。GXは経済社会全体を変革するものであるため、社会からの理解も必要となります。

GXの将来性

日本はGXのポテンシャルが高く、将来性は高いといえます。日本のGX関連の特許スコアは、世界1位です。自動車関連やエネルギー供給における割合が高い特徴があります。国内のGX事業収益全体に占める収益の割合は、ドイツに次いで世界2位でした。

政府は2050年までにカーボンニュートラル実現に向けて、高い目標を掲げています。世界各国でも取り組みが始まっていますが、日本はGXの分野において将来性が期待できるといえます。

※参考：GX実現に向けた今後の取り組み｜経済産業省

まとめ

GXは国全体で取り組む、地球環境に配慮した活動です。企業もGXの取り組みに参加して、地球温暖化や資源の枯渇などの問題解決に貢献する姿勢が求められます。企業にとって、GXは生産性やブランド価値の向上のような効果が期待できるものです。初期費用や活動内容への理解などを考慮して、長期的な目線で取り組むとよいでしょう。

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