SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)とは?注目される背景、必要性も解説

SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)とは?  注目される背景、必要性も解説

SXとは、企業・社会のサステナビリティを保つ取り組みです。
近年、多くの企業がSXに注目しています。
この記事では、企業の営業・企画・マーケティング・研究開発職の担当者に向けて、SXについて解説します。
注目される背景や取り組む必要性についても解説しているので、参考にしてください。

SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)とは

SXとは、Sustainability Transformationの略称で、企業および社会のサステナビリティ(持続可能性)の両立を目指す考え方です。

企業のサステナビリティとは、中長期的に企業の稼ぐ力の持続性を強化することです。社会のサステナビリティとは、気候変動や感染症といった予測不可能な出来事に備えて、社会の持続可能性を目指すことです。SXは、経済産業省の「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」において、2020年に提唱されました。

DX(デジタルトランスフォーメーション)・GX(グリーントランスフォーメーション)との違い

SXと類似した言葉がありますが、意味は異なります。ここでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)と、GX(グリーントランスフォーメーション)との違いについて解説します。

DXとの違い

DXとは、デジタル技術を用いながら、業務改革を起こし、新たなサービスやビジネスモデルを創造することです。DXとSXの違いは、期間と目的が異なる点です。DXが短期的に業務効率化や競争力の向上を目的とする活動であるのに対し、SXは長期的に持続可能性を追求する活動を目指します。

DXとSXはどちらかだけに取り組めばよいわけではありません。事業戦略を検討する際には、両者の発想を組み合わせ、改革を進めることが重要です。

GXとの違い

GXとは、カーボンニュートラルを目標に、社会や経済の仕組みを変革していくことです。化石燃料を太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーに転換し、環境に配慮した経済成長や社会改革を目指します。GXが自然エネルギーの変革に特化するのに対し、SXは広い視野で変革を目指す点が違います。そのため、GXはSX達成のための1つの手段といえます。

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SXが注目される背景

SXは、世界情勢の急激な変化や企業イメージの拡大などを背景に注目が集まっています。ここでは、注目される背景を解説します。

世界情勢の急激な変化

最も大きな要因は、世界情勢の急激な変化です。地球温暖化や新型コロナウイルス感染症の流行、DXの進展といった従来の社会システムを覆すような事象が相次ぎ、多くの企業が影響を受けています。企業はこれらの変化に備えつつ、事業を継続しなければなりません。自社の成長だけではなく、社会の持続性も意識して企業価値を生み出すことが求められるため、SXが注目されています。

ESG投資の拡大

ESG投資の拡大も、SXへの取り組みに影響を与える要因の1つです。ESG投資とは、社会課題や環境問題に配慮した経営を行う企業に、優先して投資する手法です。現在、社会貢献活動に注目する投資家が増えており、企業のSXへの取り組みを表明することは、投資家への安心材料につながります。投資家から注目が集まれば、多くの投資を期待できます。

企業イメージの向上

SXに真剣に取り組む姿勢は、社会における企業イメージの向上になる点も、注目される背景にあげられます。投資家だけではなく、消費者も環境問題や社会課題の解決に積極的な企業を重視する傾向があります。とくに若い世代ほどこの傾向が高まり、就職先を決める判断基準にする人も多いようです。投資や利益向上だけではなく、優秀な人材確保にもつながる点もSXに取り組むメリットです。

人的資本経営の観点

人的資本とは、企業を支える人を資本と捉えることです。投資家が投資判断を行う際は、財務状況だけではなく、人的資本に対してどのくらい投資を行っているかも確認します。人的資本経営はSXと密接に関わっており、従業員の能力開発や働き方改革の適切な推進は、企業の持続可能性と競争力の向上において重要です。人的資本を重視しない企業は、持続的な成長が見込めません。

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企業がSXに取り組む必要性

投資家や消費者からの信頼を獲得することは、企業にとって大きなメリットとなるため、SXの取り組みは欠かせません。SXを実現できない場合、社会情勢の変化に対応できない、消費者から利用されないといった影響が出て、企業の成長が難しくなることが予想されます。

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SXの実現に必要な3つの要素

経済産業省は、「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」にSXの実現に必要な3つの要素をまとめています。以下で解説します。

1.企業の稼ぐ力を強化する

企業の稼ぐ力とは、自社の強みや競争優位性、ビジネスモデルを中長期的に強化することです。企業が稼げなければ、投資ができず、さらに稼げなくなるという負のスパイラルに陥ります。事業ポートフォリオのマネジメントを見直したり、デジタル技術を駆使しながら生産性向上を高めたりして、企業価値を上げる取り組みが重要です。

2.社会のサステナビリティを経営に反映させる

SXを実現するには、社会の状況を反映するだけではなく、企業活動への取り組みも求められます。先の見えない不確実性の高い時代においては、想定外の変化が起こることを常に念頭に置きましょう。社会の変化はリスクであるとともに、新たなビジネスチャンスを内包しています。企業は社会の姿を予測し、必要な取り組みを検討し、経営に反映することが重要です。

3.企業と投資家による対話を繰り返す

SXの実現には、投資家との積極的な対話が欠かせません。SXは中長期的な取り組みであり、先行投資や社会奉仕活動といった、直近の利益と結びつきにくいテーマも含まれます。質の高い情報開示とともに、SXによる投資家へのメリットや社会的意義を丁寧に説明しましょう。

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SXの実現にはダイナミック・ケイパビリティが必要

SXの実現には、ダイナミック・ケイパビリティが欠かせません。ここでは、概要や強化する方法について解説します。

ダイナミック・ケイパビリティとは

ダイナミック・ケイパビリティとは、企業変革するための能力です。カリフォルニア大学バークレー校のデイヴィッド・J・ティース教授が、戦略経営論のなかで提唱しました。具体的には、以下の3つの能力が求められます。

  • 感知(センシング):自社の脅威やトラブルを感知する能力
  • 捕捉(シージング):機会を捉え、資産- 技術- 知識を活用して競争力を獲得する能力
  • 変容(トランスフォーミング):組織全体を刷新し、変容する能力

自社で強化する方法

企業が持続的に成長するためには、ダイナミック・ケイパビリティを身につけ、強化することが必要です。積極的にDXを取り入れ、社内に浸透させることが自社での強化につながります。

デジタルツールの活用により、データ収集や分析が可能になれば、感知や捕捉が大幅に向上します。まずは、ダイナミック・ケイパビリティの理論を学びながら、自社の業務を確認し、身近なところから進めましょう。

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まとめ

SXとは、企業と社会のサステナビリティの両立を目指す取り組みです。世界情勢の急激な変化や企業イメージの向上のために、SXの取り組みは欠かせません。社会の状況を反映しながら、自社の経営を検討しましょう。情報収集には、自動化ツールが便利です。

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