富士電機はパワー半導体、パワーエレクトロニクス、計測・制御、冷熱技術、等のコア技術を強みとし、エネルギー・インダストリー・半導体・食品流通の4分野で事業を展開しています。
その一方で2017年には成長戦略のための変革に取り組む新組織も立ち上げており、新たな事業領域の開拓にも積極的に取り組んでいます。その中で「ゼロイチ」部分を担っているのが技術マーケティング部です。
日経ザ・ナレッジ導入の目的は?
- 変化の兆しを捉えるための情報収集を行いたい
- 日経各紙をはじめとした信頼性の高い二次情報を活用したい
- より深い記事分析や議論も積極的に推進したい
その効果は?
- 重要記事をMFT分析でさらに深掘りし、新規領域のロードマップ策定に活用
- 記事分析を起点にした企業分析を行うことで「未顧客」企業の訪問も実現
- 記事の共有・コメント・「いいね」で双方向の会話が活性化
- 先端技術研究所でも一部の社員が活用しており、部門を超えた議論も活発化
今回は、日経ザ・ナレッジを利用している技術開発本部・新製品開発プロジェクト室・技術マーケティング部のお二人に、導入の経緯や活用方法・効果についてお話をうかがいました。
新製品を「ゼロイチ」で創り出していくには
変化を捉える情報収集に加えて議論の場も必要
技術開発本部 新製品開発プロジェクト室 技術マーケティング部が担う役割についてお聞かせください。
乾さん(以下、敬称略):富士電機には製品開発を行う4つの事業本部がありますが、これらとは別に成長戦略のための変革に取り組む新組織を2017年に立ち上げ、2021年に新製品開発プロジェクト室となりました。新製品開発プロジェクト室には3つの部があり、その1つが技術マーケティング部です。そのミッションのひとつは、社会や市場の変化の兆しを捉え、新たな事業領域を見出し、その方向性を示す「新領域ロードマップ」を策定することです。
日経ザ・ナレッジの導入背景と経緯を教えてください。
技術マーケティング部 主席 乾 貴誌 氏
乾:技術マーケティング部は何もない状態から新たな製品やサービスを立案する、いわば「ゼロイチ」の部分を担っていますが、そのためには世の中全体で何が起きているのか、特に技術的な変化についての情報収集が欠かせません。その情報源として重要なのが新聞などの媒体の記事ですが、単に記事を収集するだけではなく、その記事をベースに技術的なディスカッションを行うことも必要です。その基盤になるものとして着目したのが日経ザ・ナレッジでした。日経ザ・ナレッジのウェビナーを見て、これなら記事をベースとしたコミュニケーションやディスカッションを、行いやすくなると感じたのです。
北川:新聞記事の共有に関しては、以前はベテラン社員が記事を切り貼りしたものが回覧されていました。しかし回覧されている記事がなぜピックアップされたのか、日々の業務に忙しいベテラン社員に聞きにいくのは、なかなかハードルが高いものです。また若い人が自分から発信することが難しい、という問題もありました。これに対して日経ザ・ナレッジなら、誰でも気軽に記事を共有でき、共有された記事に「いいね」やコメントをつけることで、双方向でのやり取りが容易になります。
乾:日経ザ・ナレッジと同じようなサービスは他にもありますが、ここで特に重要なのが、日経が出している各種媒体の記事を扱っているか、ということです。最新の技術情報も日経の記事なら、プロがきちんと解説してくれるからです。このニーズに対応できるのは、日経ザ・ナレッジだけでした。複数のサービスを比較検討した結果、最終的に日経ザ・ナレッジの採用を決定、2024年6月にトライアルを開始し、同年8月に正式導入しています。
重要な記事をMFTフレームワークで分析
活用状況は独自の指標で定量化
業務の中で、日経ザ・ナレッジをどのように活用していますか。
技術マーケティング部 主任 北川 慎治 氏
北川:利用部門は主に新製品開発プロジェクト室ですが、先端技術研究所でも一部の社員が活用しており、合計で30ライセンスを契約しています。技術マーケティング部では、新たなテーマ発見のために活用しています。ユーザーが自由にバインダーやワークスペースを作成し、共有したい記事をワークスペースで共有、「いいね」やコメントを付け合っています。
乾:日経ザ・ナレッジは、時系列で記事を蓄積するだけではなく、関心分野でセクションを作って記事を集められるのがいいですね。関心領域で記事を整理しておくと、後で記事を振り返りやすくなります。
北川:バインダーやワークスペースを自由な発想で作成でき、フレキシブルに使うことができます。また「あなたへのイチオシ」も気に入っています。AIがこちらの行動をきちんと学習して、読みたい記事を紹介してくれるからです。
個人が自由に作成したバインダーやワークスペースの他に、新領域ロードマップを策定するための共有ワークスペースも用意しています。
2025年5月からは、共有ワークスペースの記事の中から毎週5つの記事をピックアップし、MFTフレームワーク(※1)の観点から読み解いたレポートを作成、その内容を部会でさらに深掘りしていく、という取り組みも始めています。技術マーケティング部は未来の視点からバックキャストして新領域を考える必要があり、そのために技術論文や特許もチェックしていますが、変化の兆しを捉えるには記事分析も重要です。まだ始めてから4か月程度ですが、すでに60本以上のレポートが蓄積されています。
※1 MFTフレームワーク:Market(市場)、Function(機能)、Technology(技術)の3つの要素を軸に、技術シーズと市場ニーズを効果的に結びつけ、新たな事業機会を発見するためのビジネス開発手法のこと。
乾:5つの記事のピックアップは、独自に算出した「インパクト指数」の高いものを中心に行っています。この指数は、日経ザ・ナレッジのアクティビティレポートから、各記事のコメント件数、ハイライト件数、返信数、「いいね」数を抽出し、一定の重み付けを行った上で計算しています。
その一方で、誰がどの程度活用しているのかも、「基本力」「発展力」「総合力」という項目で定量化して毎週発表しています。これもベースになっているのは日経ザ・ナレッジのアクティビティレポートです。「基本力」は、そのユーザーのログイン日数や記事閲覧回数、ワークスペース保存数から算出しており、「発展力」はハイライト数や「いいね」数、コメント数から算出しています。そしてこれらを総合したものを「総合力」としています。
双方向のコミュニケーションが活発化
未顧客企業へのアプローチにも活用
日経ザ・ナレッジを利用して、どのような効果を感じていますか。
乾:最新記事を日々共有してコメントしあうことで、コミュニケーションのレベルが高くなったと感じています。
以前行っていた、新聞の切り抜き記事の回覧では、情報が届くまでに時間がかかることや、情報発信が特定の社員に属人化していたことが課題でした。今では、なぜその記事を選んだのか、という観点とともに、デイリーでチーム全員に記事を共有することができます。誰でも気軽に記事を共有できるので、そこからディスカッションに発展することも増えています。
北川:「いいね」やコメントによって、双方向のコミュニケーションも増えました。「いいね」をつけると記事を共有した人にメールが届くので、これがきっかけになって会話が始まることも多いようです。
乾:私は日経ザ・ナレッジを積極的に使ってもらいたいので、共有された記事にはすべて「いいね」を付けています。これが「心の支えになっている」と言ってくれる人もいます。
また利用状況の分析も行えるため、マネジメントのツールにもなっています。利用状況をもとに、「基本力」「発展力」「総合力」の指標を設けていますが、記事の共有やディスカッションの活発さなどメンバーそれぞれの活用度を定量的に測るだけでなく、情報収集や共有・活用の促進にも繋がっています。
活動量の指標のうち「基本力」と「発展力」を足し合わせた「総合力」の項目については、100点を目標として設定しており、毎週上位10名を発表しています。取り組みを続けるなかで、実際に100点をクリアしたメンバーや、スコアが上がってきたメンバーも出てきています。次のステップとして、利用が伸び悩むメンバーも含め、全員がより意欲的に取り組めるよう、ゲーミフィケーションの要素を取り入れるといったような、楽しく取り組んでもらえる機能が今後サービスに備わると嬉しいです。
北川:研究所でも一部の社員が使っていますが、彼らとのコミュニケーションも活発になっています。部門を超えた連携を推進するツールとしても、日経ザ・ナレッジは有効だと感じています。
乾:最近では、企業分析に日経ザ・ナレッジを使うことも増えています。世の中に出ている記事を起点とし、これまでお付き合いのなかった「未顧客」企業の分析を行っているのです。またこのような分析結果を活用し、「未顧客」企業への訪問も始めています。
もちろん、接点のなかった企業にアプローチするには、イベント参加などで名刺を入手し、メールを送り、担当者を紹介してもらう、といった地道な取り組みが必要で、時間もかかります。しかし記事分析からピンポイントでターゲット企業を決めることで、時間のかかる取り組みも確信をもって進められます。また徹底した企業分析は、「話を聞いてもいい」と思っていただくためにも有効です。すでに「サーキュラーエコノミー」をテーマに、未顧客だった企業とのディスカッションも始まっています。
このように日経ザ・ナレッジで得られた二次情報を起点に一次情報を組み合わせることが、戦略の精度を上げていくことに繋がると考えています。
MFT分析や部門を超えた連携をさらに拡大
今後、日経ザ・ナレッジをどのように活用したいとお考えですか。
乾:MFTフレームワークの観点での記事分析は、いまは技術マーケティング部だけで行われていますが、これを他の部にも広げていきたいと考えています。
北川:部門を超えた連携も広げていきたいと考えています。今契約しているのは30ライセンスですが、日経ザ・ナレッジを使いたいという社員が増えており、すでに手狭に感じています。これを今後どうするか検討中です。
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